青い絵付けの焼き物 大量輸出で“海のシルクロード”も誕生

コバルトブルーの技法はさらにシルクロードを東へと伝播していき、中国の磁器と出会います。そして元の時代に、白い磁器にコバルトを使って青い絵付けをした「青花」と呼ばれる焼き物が誕生しました。

中国の世界遺産「北京の故宮」は、かつて中国皇帝が暮らした宮殿です。ここには、「官窯」と呼ばれる皇帝専用の窯で焼かれた超一級品の青花が納められ、金よりも価値のある秘宝として扱われました。

磁器は陶器と違い、薄く軽くガラス質で、弾くと金属のような音がするのが特徴です。厚くて重い陶器は世界中で作られていましたが、磁器は17世紀まで中国でしか作ることの出来ない「ナゾの焼き物」だったのです。

希少価値のある磁器に青い絵が描かれた青花は、トルコのオスマン帝国やヨーロッパの王侯たちの間でも大人気となり、中国から大量に輸出されていきます。ただしシルクと比べると重くてかさばる磁器は陸路での運搬に向かないので、船を使い海路で中国からインド、アラブ、そしてヨーロッパへと運ばれていきました。こうして生まれた交易ルートが、いわゆる「海のシルクロード」です。