P3C対潜哨戒機の監視活動に同行

オホーツク海の流氷を観測するP3C対潜哨戒機。平和的な活動の一つだ。81年の導入以来、日本周辺の船舶を監視し、“専守防衛の象徴”と言われて来た。

海上自衛隊八戸基地。台風が接近する中だが中国とロシアの艦船の動きが活発化する北の海の監視に向かう。

報道特集のカメラがP3Cに乗り込んだ。離陸後すぐに巡航速度、時速600キロに移った。1機で四国の面積をカバーし、10時間の飛行もある。9000メートルから海面すれすれまで緩急をつけての飛行が可能だ。

パイロットにも女性の進出が顕著だ。

Q.もともとパイロット志望だったのですか?
副操縦士
「はい、パイロット志望です。女性が増えてきて、施設も変わってきて、徐々に働きやすい環境になってきた」

多くの船舶が行き交う津軽海峡。刺激しないように船の後方から接近する。

Q.どれくらい近づけば分かりますか?
写真撮影担当
「現在視界が悪い中ではあるが、約10キロからはしっかり識別することができる」

Q.不審な船は分かりますか?
写真撮影担当
「しっかり分かります」

Q.どうやって見分けるんですか?
写真撮影担当
「それは答えることができない」

1回のフライトで数百隻を監視することもある。P3Cの最大の任務が、潜水艦の探知だ。

潜水艦が発生させる熱を、機体前方の“アーズ”と呼ばれる赤外線暗視装置が捉え、最後尾の“マッド”で磁気を見つける。海中に投下したソノブイで潜水艦の微かな音も収拾する。熱、磁気、音を探知する能力は世界一と言われる。

元防衛省情報分析官 伊藤俊幸氏
「P3Cがすごかったのはソ連、中国、北朝鮮海の潜水艦の動きをを完全に封じたこと」

冷戦時代はソ連の原子力潜水艦を追跡し、情報はアメリカに提供されていた。

細心の注意を払う空域がある。ロシアが占拠している北方領土周辺だ。接近し過ぎると不測の事態を招きかねない。

悪天候のために視界が悪いが、知床半島の先が北方四島の一つ、国後島だ。

最近、北海道周辺で中国とロシアが連携した軍事行動をとるようになった。

海上自衛隊第二航空隊 山下貴大司令
「北方(領土)の警戒監視は非常に重要」

Q.(P3Cで)飛ぶと情報が取れますか?
海上自衛隊第二航空隊 山下貴大司令
「細部はお答えできないが、市谷(防衛省)や総理官邸がそれぞれ必要な情報は収集することができる」