5分で離陸 急増するスクランブル

そんな中、長崎県では中国軍機が、北海道ではロシアの偵察機が相次いで領空を侵犯した。

領空侵犯には全国7か所の基地がスクランブル(緊急発進)で対応する。“5分以内の離陸”に向かって部隊が総力を結集する。パイロットがコックピットに乗り込み、格納庫の巨大な扉が開くまでわずか18秒だ。

今回、ロシア軍機に千歳と三沢を発進した戦闘機が、“フレア”を初めて使用して警告した。熱源を追跡してくるミサイルに“おとり”として使われる火炎だ。

航空支援集団 永岩俊道元司令官
「(フレアは)継続的に非常に明るい模擬弾で、上空でも明確に分かる」

領空侵犯に対して、一段階強い警告を行った事になる。

航空支援集団 永岩俊道元司令官
「日本の空の主権を守ることの最前線で役割を成すため、相応の責任と、国際法に則った正確な手順で実施しなければいけない。間違った対応をすると、国家間の対立の火種になる。大きな戦争になる恐れもあるので、極めて慎重に対応する必要がある」

スクランブルは急増し23年度は669回、このうち中国軍機には479回と群を抜いて多い。

中国・人民解放軍の戦闘機と写真に収まる一団。防衛省・自衛隊の元将官達だ。

日中の防衛交流は1977年に始まり、最高実力者・鄧小平氏も出席したこともある。天安門事件後、中国が殆どの外交チャンネルを閉ざした期間でさえ、この交流は継続された。

しかしコロナ禍で中断、中国側は再開を希望しているが、習近平体制が独裁的だと反発する日本側が拒否したままだ。

日本側の窓口は永岩元空将だ。

Q.交流は非常に意味があるのでは?
航空支援集団 永岩俊道元司令官
「お互いの国の主権を守る役割で、人民解放軍のOBも我々も存在価値は一緒。同じ問題認識で議論できたり、体制に関連する意見交換もできた」

Q.今こそ(防衛交流を)やるべきではないか?
航空支援集団 永岩俊道元司令官
「『対話を継続すべき』にはまったく同意です」

しかし、中国に対する警戒感が治まる気配はない。