今国会は「大きな転換点」

藤森祥平キャスター:
その合意形成も含めて、少数与党の国会運営が始まりました。星さんは今国会が大きな転換点になると。こちらの映像をご覧ください。

これまで毎年のように見られている、新年度の税制の枠組みを決める税制調査会の会合前の風景。皆さんがいろんなもの持ってアピールしてますね。関係団体や自治体の関係者が会合に出入りする国会議員に要望を訴えてるんです。ああしてほしい、こうして欲しいと声も上げていますね。これはどうなりますか?

TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
これもう政策決定というのは自民党が全てということを表してると思いますけども、この風景が大きく変わりそうなんです。なぜかというと、今まで自民党ではその事前審査と呼ばれる政策決定のあり方が続いてきました。これはどういうことかといいますと、自民党の中の政務調査会というところで、議員と官僚とが密室で議事録もないまま調整を進めて法案を提出する。

そうすると自民党は与党が多数ですので、国会では数の力で押し切るということなんですけれども、業界団体もどんどん陳情したり献金をしたりして、不透明なお金の温床になっていたということもあるんです。ただ今度は少数与党ですので、これができなくなったというのが非常に大きな転換点になるんです。

小川キャスター:
ということは結構国会が変わっていくということになるんでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
そうですね。例えば今、自民党・公明党と国民民主党で103万円の壁の撤廃について話し合われてますけど、実はこれも議論の中身そのものは密室なので、この事前審査に近い形なんです。これに対して、例えば立憲の野田代表はこれからは国会でオープンにやりましょうと。今までのように事前審査で密室でやるんじゃなくて。

国会で例えば政府案を出して、それに対して与野党がオープンに議論をして修正をして成立を図るというやり方に転換すべきだと言ってまして。実はこの問題は臨時国会で議論は始まっているんですけど、2025年の通常国会に向けて、私は非常に大きな政治的な論点になってくると思います。

藤森キャスター:
簡単に変わりそうにないってことですか?

TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
今回のように国民民主党を抱き込んでまた密室でやるっていうのは、自民党と公明党がするとそっちの方が楽ですので、そちらの方に行くのか、それとも野田さんが言ってるようなオープンな透明性の高い議論に転換していくのか。これはもう60年以上続いてる慣行なので、それが変わるかどうかというのは非常に大きな、ある意味では日本の政治の分岐点になると思います。

小川キャスター:
私達も政治不信の中にいましたから、なかなか疑心暗鬼になってしまうところもありますけれども、期待を込めて見ていきたいところです。

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<プロフィール>
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年