「働き控え」「税収減」 壁どう見直す?
藤森キャスター:
「103万円の壁」の議論については財源が大きなポイントになっています。その中で、親の特定扶養控除の基準額を上げればいいのではないかという考え方があります。

大和総研・是枝氏の分析によると、現在103万円の壁を超えて働いてる学生がそもそも少ないので、税収が減るということは生じないのではないかということです。
一方、誰でも一律に控除が受けられる基礎控除について、壁を178万円に引き上げてしまうと、税収減が7~8兆円になるという影響の大きさがあるので、特定扶養控除に限って壁を引き上げればいいのではないかということです。
塚越菜々子さん:
特定扶養控除を上げても税収に影響はありません。学生に限って103万円を178万円に上げたとしても、これとは別に130万円の壁という社会保険の問題が出てくることには違いありませんので、行けても130万円ぐらいにはなってしまうのかなと思います。
特定扶養控除であれば、さほど税収に影響は出ないと思いますが、適用されるのは基本的に学生(19歳〜22歳)に限られます。全ての方の手取りを増やすという意味では効果はなくなってしまうので、それで良いのかという問題もあります。
藤森キャスター:
国民民主党・玉木代表は、記者から「『特定扶養控除』の引き上げなら減収も伴わないのでは」という質問に対し、「これまでもインフレのときは、基礎控除を上げていた」と強調しました。

23ジャーナリストの片山薫記者によると、玉木代表としては、政治的なインパクトを求めていて、▼少なくとも4兆円規模の大減税を実現したい、▼壁については、103万円から130万円以上まで引き上げることを実現したいのではないかとしています。
小川キャスター:
私たちにとって、手取りが増えるのは嬉しいことですが、一方で、地方からは、減収に繋がり行政サービスにも影響が出るという声が出てきました。今後の議論、どのようなところに注目していきますか。
トラウデン直美さん:
「働きたい」と思ってる人が、働いただけちゃんと(収入が)増えるという形は実現されてほしいなと思います。手取りが増えるようになったら経済にもいい効果があるのではないでしょうか。
税収が減ってしまうということは一旦飲み込んで、例えばアメリカでイーロン・マスク氏が「政府予算の3分の1を削減する」と主張するように、せっかくの機会なのでここで歳出の見直しをして、家計もやりくりしてるので政府もやりくりして、地方で減ってしまった分を補填するなど、やり方はあるのではないかと思います。
塚越菜々子さん:
そもそも基礎控除は、生活に最低限必要なものにはお金をかけないということなので、これだけ物価が上がって生活に最低限必要なもの(の金額)が上がっているとなると、時代に合わせて動かしていく方が自然だとは思います。どこまでやるのかは別問題ですが、学生に対する対応とは別に、きちんと考えていくものなのではないでしょうか。
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<プロフィール>
塚越菜々子さん
ファイナンシャルプランナー
「共働き家計の金銭不安解消」を目指し資格取得
「年収の壁」などをテーマに執筆
トラウデン直美さん
環境問題やSDGsについて、積極的に発信
趣味は乗馬・園芸・旅行