大統領選 米国は変わった? トランプ氏圧勝 現地の受け止めは…

1年間現場で取材を続けたワシントン支局の涌井記者に話を聞いた。

――今回の結果と現場で感じたことと、一致していたか。

ワシントン支局 涌井記者:

結果を予想するのは難しかったが、激戦州を取材してきた中で、インフレや不法移民の問題の対応についてはトランプ氏への支持が強かったと感じることは多かった。9月にペンシルベニア州でヒスパニック系の住民が多い地域を取材したが、その際人々が口々に「トランプ政権のとき、インフレはなかった。いま何も高すぎ何もかもが高すぎる」「不法移民が多すぎて、我々合法的な移民まで問題があるかのように捉えられる」と話していた。本来民主党の支持層と見られていたヒスパニック系の人々の間でも、トランプ氏への支持が広がっていると実感した。

――「トランプ完勝」「ハリス完敗」という結果。アメリカ国内の受け止め方は?

ワシントン支局 涌井記者:
選挙翌日の「ニューヨーク・タイムズ」の記事。地図上で赤いところ目立つが、共和党が前回の選挙に比べて支持を伸ばしたという地域。民主党の牙城であるニューヨークでさえ、共和党が票を増やした。ニューヨーク・タイムズは社説で「民主党が採用していた進歩主義的な政策の大部分が忠実な有権者を遠ざけているのに気づくのに時間がかかりすぎた」と指摘したが、私も同じ印象を持っていた。具体的に言うと、「多様性の重視」「性的少数派の権利の保護」「気候変動対策」といった民主党が打ち出してきた政策がインフレや不法移民の問題など、目の前の暮らしを「何とかしてほしい」と感じている有権者にとっては「浮世離れした贅沢な悩み」というふうに見られ、民主党から有権者が離れていったのではないかと感じた。

――第2次トランプ政権の人事。既に首席補佐官には女性のワイルズ氏が決まった。ほかにはどんなポストが決まりそうか?

ワシントン支局 涌井記者:
通商代表ポストには第一次政権からの再登板となる対外強硬派のライトハイザー氏。エネルギーの規制緩和を進める要職に一時トランプの副大統領候補に取り沙汰されたノースダコタ州のダグ・バーナム知事を起用かといった報道が出ている。また、実業家のイーロン・マスク氏がトランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領の電話会談に同席したという報道も出ていて、何らかの重要ポストにつくのではないかという憶測が広がっている。