最初は警戒したけれど「違う」と感じた

5月に承継が成立した八代市の農地。元所有者の千代永さんは、高糖度トマト栽培で「地域特産物マイスター」に認定されていて、表彰を受けたこともあるベテラン農家です。農業に誇りを持って生きてきました。

しかし、燃料代や資源の高騰、温暖化など、農業経営が厳しさを増す中、子どもの代まで続けていくのが難しいと判断、売却を決めました。

売り手で元所有者 千代永幸義さん「最初(福永さんに)警戒はあった。しかし、(他の人とは)違うと感じた」

福永さんが紹介した買い手は、熊本市で花を使ったビジネスを手掛ける冠婚葬祭業『(株)ビューティカダンホールディングス』。円安やコロナで海外からの花の調達が困難になり、栽培する農地を探していました。

売り手の千代永さんの条件は、「手放した農地で今後も農業を続けたい」。福永さんは買い手を説得し、承諾を得ました。

売り手 千代永さん「(福永さんが)やってくれたことは言葉に言えないほど嬉しい」

買い手 ビューティカダンホールディングス 柳田晋介取締役「八代という場所が魅力。菊の生産にも生かせる設備が整っていたところを評価」

ビューティカダンホールディングス 舛田正一社長「広大な土地を休ませておくにはもったいない。課題解決は(売り手と買い手)一緒になってできると思う」

これまでトマトを育てていたハウス。今後は祭壇用の菊を栽培し、千代永さんが農作業にあたります。

――福永さんの印象は?
舛田社長
「いろんな情報を素早く対応してやってもらえるのはありがたい。動きも早い」

福永さん「農業の課題が山積していると感じている。今まで農業に携わってない人でも農業に少しでも関心を持ってもらい、知見を集約してチャレンジできる環境を熊本で始めたい」

熊本県全体の農地が約13万ヘクタール。福永さんは、そのうちの4割が今後、承継が必要になると見ています。