「すでに子どもがいて、育てられない」レイプ被害者や10代患者も…
アンドレア院長はもともとテキサス州でクリニックを開設していたが、中絶が禁止され経営ができなくなった。そこで周辺の州からアクセスしやすいイリノイ州に移ってきたという。
この日、クリニックに来ていた患者に話を聞くことができた。

――なぜ中絶を選択されたのですか?
「すでに子どもが2人いて、これ以上子どもを育てられないからです。十分厳しいです。もう1人は無理です」
――経済的に?
「はい。精神的にも」
レイプの被害者や、10代の患者を診ることも多い。最年少の患者は12歳だったという。
アンドレア院長
「夜勤を終えて車に乗り込み運転し、駐車場で仮眠してくる患者もいます。ここで処置を終えると、またすぐ車に乗り込み運転し始める。翌日の夕方には仕事に戻らなければいけないからです」

――トランプ氏が再選したら?
「彼にはこのような事態を招いた責任があります。全国的に中絶を禁止すべきかどうか、判断が行き来していますが、少なくとも彼に命と健康の問題を託すべきではありません。彼が再選された場合、何が起こるかとても怖いです」
同じ街に、産前・産後の女性たちの支援センターがある。

支援センターのチャスティティ・メイズさんは、寄付されたオムツやミルク、チャイルドシートなどを配り、州外からやってくる中絶希望者のサポートもしている。

メイズさん
「酷いことが起こっています。最近ではジョージア州・アトランタでも、女性が亡くなった例が複数ありました。女性は流産していたのに、体内から取り除く処置が受けられず、敗血症を起こしていました。それが中絶になるとして医師は処置しなかったのです」

カーボンデールは小さな街であるため、タクシーやバスなど公共の交通手段が少なく、列車でやってくる患者の送迎をメイズさんが行う。
メイズさん
「アムトラックの駅です。朝3時に患者を迎えに来ます」
――トランプ氏が再選したらどうなる?
「まず、中絶の問題では女性が選択する権利を奪われるでしょう。さらにトランプは人種差別主義者たちを大胆にし、彼らは差別を露骨にできるようになると自信を得るでしょう。少数派はトランプが再選されれば、深刻な影響を受けると思います」