交錯する原発再稼働「反対」と「容認」
日本の原発は11年の事故後、いったん全て運転を停止しました。
当時の民主党政権は12年9月に「30年代の原発稼働ゼロ」を盛り込んだエネルギー・環境戦略を作ったものの、閣議決定に至らず。
同年12月に政権交代して成立した自公連立政権は、14年6月、原子力を「重要なベースロード電源」とし、原子力規制委員会の安全審査に合格した原発の「再稼働を進める」と明記したエネルギー基本計画を閣議決定。
脱原発から再稼働推進に政府の方針が大きく変わった14年以降、人々の原発再稼働への意識はどうなったか。それもTBS生活DATAライブラリ定例全国調査で追いかけることができます。
政治・経済・社会に関する様々な意見について、自分の考えに近いものをいくつでも選ぶ質問に、原発再稼働「反対」と「容認」の選択肢があります。その選択率の推移を示したのが、次の折れ線グラフです。

これを見ると、政府の方針が変わった14年以降も、21年までは再稼働「反対」が「容認」を上回っていたのが、22年に逆転。これには22年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻の影響があるようです。
侵攻に伴い、世界的に供給が不安定となった液化天然ガスや石炭・石油など、火力発電に使われる燃料の価格が高騰。これが電力会社の22年度赤字決算の原因となり、23年6月には大手電力7社の家庭向け電気料金が値上げに。
つまり、電気がそれなりの料金で賄われているうちは、原発は再稼働しなくてOK。でも、いざ電気料金が上がって生活に実害が出始めると、背に腹はかえられず再稼働も止むなし、ということかも知れません。