原発事故の「喉元」は10年くらい?
2011年3月の東日本大震災から13年。当時、福島第一原発の事故で一気に高まった原発への警戒感や脱原発の機運は今どうなったのか。
そうした人々の意識の動きをデータで追えるのが、TBS生活DATAライブラリ定例全国調査です。
この調査にあるのが、「ガン」や「戦争」といった選択肢から「恐いと思うもの」をいくつでも選ぶ質問。その選択肢に「原子力発電所の事故」があり、90年代から毎年その動向を記録中。こんなデータ、世の中にそうそうあるものではありません。
「原子力発電所の事故」を恐いと思う割合の、94年以降の推移を示したのが次の折れ線グラフです。
比較のために、同様に長期間調べている「社会全般の関心事」という質問の中の「地震・異常天候などの自然災害」の推移も示してみました。

まず「自然災害」に注目すると、全体として4割前後で推移しつつ、ところどころに鋭いピークがあります。
最大のピークは阪神淡路大震災の95年で、選択率は実に6割。次いで、5割を超えた04年。この年は、台風10個の上陸や新潟・福島や福井での豪雨、浅間山噴火、新潟県中越地震と数多くの自然災害が発生。
ただ、東日本大震災の11年の選択率は4割強で突出感なし。ちなみに、この年の選択率トップは5割強の「年金制度」。団塊の世代が年金受給開始年齢の65歳に近づき、07年に発覚した社会保険庁(当時)のずさんな年金記録問題の余波もあったかも知れませんが、詳細は不明です。
これに比べて、90年代に2割程度だった「原子力発電所の事故」を恐いと思う割合は、東海村臨界事故(注3)が起きた99年に4割越え。そこから00年代を3割前後で推移し、11年に5割越え。
その後、2年ほどは4割を超えていた恐怖心も14年に3割強にストンと落ち、そこから漸減して23年は2割ほどに。
こうしてみると、毎年どこかでそれなりの被害が発生する自然災害は、常に4割程度の人が関心を持ち、大きな災害でピークが立つ印象。
一方、原発事故への関心のベースは2割くらいで、大事故でグッと喚起された世間の注意がその後10年くらい続くようですが、これといった事故がないと(それでいいのですが)ベースの2割まで下がっていく印象です。