“未知”のハリス氏 パフォーマンスが評価された
そもそも今回の候補者討論会は、大統領候補としてハリス氏のパフォーマンスが最大の焦点でした。ハリス氏については知らないことが多過ぎるからで、逆に言えば、トランプ氏のことは、もう嫌と言うほど皆よく「知っている」のです。従って、ハリス氏がトランプ氏と十二分に渡り合える候補であることを示せたことが注目されたのは当然です。その点でハリス氏はそれなりの成果を上げたと言えるでしょう。
討論会後のCNNテレビの世論調査で、ハリス氏の方が良かった人が63%で、トランプ氏が良かった人が37%だったされています。
「経済」「移民」で浮動票を取り込めるか
しかし、有権者の2大関心テーマである、経済と移民についてみると、どうでしょうか?討論会前9月上旬のニューヨークタイムズの世論調査では、経済政策について、56%対40%、移民問題については53%対42%で、いずれも圧倒的にトランプ氏の方が良いと見られています。
今回の討論会のやり取りを見た上で、この差が少なくとも縮まらなければ、ハリス優勢とはとても言えないでしょう。
アメリカ大統領選は、限られた激戦州の、残された少しの浮動票の行方が、結果を左右するからです。元来の民主党シンパの有権者が、ハリス氏の振る舞いに鼓舞されても、結果にはそれほど大きな影響はありません。
ハリス氏が勝利するためには、最後の最後まで(投票に行くかを含めて)迷っている人々を、この2大テーマで納得させられるかが大きな課題だと、改めて感じさせられました。
播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)