ハリス氏の挑発に乗り、反撃に懸命なってしまったトランプ氏

これに対してトランプ氏は、自らの政権時には経済が良かったと強調し、トランプ政権が始めた鉄鋼やアルミ製品に対する付加関税を「バイデン政権だって、そのまま引き継いでいる」と反論しました。しかし全体を通して、ハリス氏の挑発に乗って、それへの反撃に懸命なってしまったようです。

ハリス氏が掲げる「不当値上げした企業への罰則」や「300万戸の住宅供給計画」、さらに「大企業や富裕層への増税案」などの公約について、具体的に矛盾や副作用を問いただすことはありませんでした。

90分にわたる討論会の最後のメッセージとしてトランプ氏は、「(ハリス氏は)あれをやる、これをやると今言うが、なぜそれを3年半やらなかったのか」と、ハリス氏の副大統領としての責任を問いましたが、もっと早くに、この議論を仕掛けていれば、討論会はかなり違った展開になったでしょう。

トランプ氏「不法移民がペットの犬や猫を食べている」移民問題で『失言』

ハリス氏は、バイデン政権で責任者として不法移民問題を任されながら、思うような成果をあげることができませんでした。これについて問われても、ハリス氏は同じく正面からは答えず、「提出した法案を共和党が阻止している」と批判するたけでした。

逆に、「トランプ氏の集会では途中退席する人が多い」などと挑発し、トランプ氏から「(オハイオ州の)スプリングフィールドでは、不法移民がペットの犬や猫を食べている」との『失言』を引き出し、ポイントをあげた形になりました。

この場面では、トランプ氏の『ウソ』を、ハリス氏が呆れた表情で笑い、「ハリス氏優勢」の印象を与えたとされますが、不法移民による治安悪化などの問題を深刻にとらえている、普通の有権者にはどう映ったでしょうか。