■地元も応援、お祭りでは「通りを青く染めよう」
青く染まる、というと言い過ぎだが、前日の東松島夏祭りでは、ブルーインパルスのブルーにかけて青い服や、何か青いものを身に着けての参加を呼び掛けている。
青といっても、紺でも水色でも構わず、青っぽい服を着ていくと、記念品がもらえる。今年はブルーインパルスが印刷された「うちわ」だった。


今年の東松島夏祭りは曇り空、お昼前から、たくさんの人がお祭り会場、会場周辺、そして基地周辺に集まり始めた。
展示飛行の時間が近づくと、航空自衛隊のナレーターの声が響き始める。ほどなく、ブルーインパルスがスモークを出しながら編隊飛行で会場上空に進入してきた。
「みえたー」という子どもの声が響く。あたり一面から連写し続けるカメラのシャッター音が響き始める。
ナレーターは演技の説明をする一方、演技の合間に、ブルーインパルスや航空自衛隊への理解を訴えていた。たとえ地元であっても、活動への理解を求める広報活動は欠かせない、といったところだ。
航空自衛隊の基地周辺では騒音問題が指摘されることが少なくない。飛行機好きには爆音すら「サウンド」に聞こえるともいわれるが、そうでなければ雑音どころか騒音でしかない。
日夜錬成に務める側にしてみれば、理解を求める以外に方法はなく、こうしたイベントへの協力、航空祭の開催は航空自衛隊(基地)と市民との大切な接点となる。
しかし、“接点”はコロナ禍で中止状態となった。それだけに3年ぶりの航空祭開催に様々な取り組みが、そして航空自衛隊の“新戦略”が導入されていた。
新型コロナ感染防止策として人数は抽選で制限、基地内での食事類の販売中止(飲料可)、マスクの着用など。そして“有料観覧席”導入の新戦略。
これまでの航空祭は基本的に希望者は入場できていた。しかし、コロナ禍とあって密を避けるためwebサイトを利用した事前の抽選制とした。入場の際に当選ハガキと個人証明書を提示して基地内に入る手順で、これまでになかった。(他の航空祭ではQRコードを配布するという事例もある)
また、会食などでの感染が指摘されていることもあり、例年、軒を連ねていた露店はなく、食事類の販売を見合わせた。
実際にどれだけの落選者がいたのかなど詳細はまだ発表されていないが、基地側にしてみれば、“接点”に希望者全員通したかったことだろう。
さらに抽選では一般入場者の他に、なんと、これまでにはなかった2種類の“有料観覧席”が準備された。
A席は写真撮影用の有料観覧席。建物の屋上部分など高いところに設定されていて、三脚の使用と70センチ以下のレンズの持ち込み、さらに基地内の駐車場が利用できる特典付きで1万円。
B席は有料観覧席で、こちらも地上の動きも含め飛行機の動きがよく見える場所だが、三脚の持ち込みはできず、レンズは40センチ以下、基地内の駐車場が利用できる特典付きで5000円というものだ。いずれも席数は航空祭によって違うがおおむね20~30席程度の様である。
これについて航空自衛隊は以前、防衛力整備のために新たな収入源の確保する旨発表していて、今年度本格実施された一つだ。
ちなみに一般当選者は三脚と40センチ以上のレンズは使用できず、駐車場の利用もできない。これまでも一般席では三脚の持ち込みはできなかったがレンズ長に制限はなかった。
とはいえ、そこは大人な対応が見られ、「40センチ以下」という表現よりは「おおむね40センチ以下」の方が実際に則していた。
