■トリは最後に登場する!
航空祭最後のプログラムはブルーインパルスの展示飛行。再びあきらめムードが漂う中、なんと、直前に雨がやみ、曇天ながらなんとなく空が開けてきた。
「ブルーインパルス飛べるんじゃないか?」
期待が高まる。だが、空を見上げると低いところに雲が残る。
そんな心配をよそに、ブルーインパルスが一機、また一機と離陸を始めた。

編隊を組み、スモークオンで基地上空を通過して、展示飛行が始まった。
格納庫にいた人たちも外に出て空を見上げる。
「どこどこ?」
「きたー」
あちこちで声が上がる。
シャッター音も切れることがない。前日と同じだ。
ナレーターの声にも力が入る。
様々な編隊を見せながら飛行を続けるブルーインパルスの演目は雲が高い時は垂直方向の演技が盛り込まれた第1区分、第2区分、低くなると水平方向に展開する演技が中心となる第3区分、第4区分と分類されている。
この日は雲が残っていることから水平方向と言えども、下から見ている限り雲の中に入っていったり、雲の中から出てくるような、そんな風に見えた。
だが、よくよく周りの反応を見ると、雲に入らないように1番機が誘導して間隙を突いた飛行になっていて、雲には入っていないようだった。流れる雲を観察しながら編隊飛行を導くのだから驚きである。
そうこうしているうちに、スモークを吐きながら垂直方向に上昇を始めた。演じている区分が変わった。歓声が上がる。
雨に水を差された航空祭も、最後の最後に天候回復で念願のブルーインパルスの展示飛行が実現した。それもこの天候の中で垂直方向の演目が加えられるという願ってもない内容となった。
区分の全てが消化されたわけではないが、プログラムが軒並み中止された最後の最後とあって、入場者も感慨深い航空祭となったことだろう。
3年ぶりの航空祭は、入場者の期待値の高さから考えれば、“接点”となったことは間違いない。
基地側の期待通り、お互いの理解を深めるために、この“接点”をどのように生かしていくのか、これから改めての出発となる。
次の機会もブルーインパルスの姿を求めて、多くの人が東松島の大空を見上げる事だろう。
