増加傾向の“ビッグ・ビジネス”
「これはビッグ・ビジネスなんですよ」
ジョンたちの調査によれば、襲撃を生き延びた被害者の1人は、犯行グループが「これで家が買える」と話していたのを記憶していた。ザンビアでは5000ドル以上を意味するという。襲撃犯は通常複数。つまり実行犯に1万ドルから2万ドルを支払っても元が取れるだけの商売なのだ。
「実行犯たち自身がアルビノの体からできた品物を使うのではありません。彼らはカネが欲しくてやっているだけです。背後にいる金持ちは実行犯にカネを払い、呪術医にもカネを払ってアルビノの体を手に入れますが、自らの手は汚さないんです」
これはザンビアに限らないが、選挙の時期に襲撃が増える傾向もあり、ジョンたちは、当選したい候補者たちがアルビノ襲撃をオーダーしている可能性がある、との疑念も持っている。
ここルンダジやその周辺では過去に4件のアルビノ殺害が記録されているそうだが、明るみに出ない襲撃も多いのだという。それらは「自然死」として記録され、隠蔽されるのだと。
ザンビアでは2019年、公式には6件の襲撃があったが、表に出ないものも含めれば、10数件から20件起きている、とジョンは推定する。増加傾向にあるそうだが、その理由の一つはザンビア政府が有効な対策を取れていないからだ、と。
「マラウイはアルビノ襲撃に厳罰化で対抗しています。タンザニアは呪術医を非合法化しました。ケニアにはアルビノの閣僚もいます」
「ザンビアでも事件をしっかり捜査して犯人を捕まえ、厳罰を与えることが抑止につながるはずです」
