■資料は白塗り…だったが加工前の記録を独自入手


Aさんの父親
「調査委員会に段ボール4箱送ってきたって、教育委員会から。それまで資料は全くないと言われてた」

それらの資料を父親は即座に開示請求し、手に入れた。その中に気になる書類があった。学校と誰かが、何らかのやり取りを繰り返してきた、その記録。核心の部分は白くマスキングされていて、誰とどんな話をしていたのかは分からない。
しかし今回、私たちは、マスキング前のものを関係者から独自に入手した。
それは当時、学校がまとめていた34ページにも及ぶ「いじめ調査記録」だった。教育委員会の内部で保管されてきたとみられる。

いじめが発覚した2006年2月4日。

学校作成の調査記録
「担任教諭がAさん宅へ電話で内容を確認する」
「家の金を合計で10万円以上を持ち出し、友達に渡している」

翌日の2月5日。

学校作成の調査記録
「父親がコレクションしていた旧札15万円分くらいを少しずつ袋より抜き取る。加害児童らにせがまれて、繰り返しその袋よりお金を抜き取り与える」

教頭や担任らが連日のようにAさんや加害児童の家を訪れ、金のやりとりを聞き取っている。そして、3月14日の記録。

学校作成の調査記録
「被害児童が養護教諭に話しかける。ぼくは恐喝されたり、いじめられたりしている。主な加害者はクラスに11人と隣のクラスに1人いる。担任はいじめを見過ごした。クラスに信頼できる心を許せる人間は誰もいない。自殺しようまで思った」
記録によると、学校はAさんから少なくとも8回、直接聞き取りを行っていたのだ。今回入手した、学校作成の調査記録。Aさん本人にも確認してもらった。

Aさん
「これ学校側が作ったんですかね。たまたま開いたページ見て思い出したことありますもん。こんなんあったなーって。それくらい詳細です。全部事実ですけども。どこから見つかったんですか?」

記者
「元々教育委員会の内部にあった資料で、(関係者が)情報提供してくれた」

初めて見た、自身の調査記録。当時、どのような聞き取り調査が行われていたのか?

Aさん
「聞き取りは連日行われてましたね。先生側から家族が呼ばれたり、僕が呼ばれたりということもあったので、『聞き取ってない』という意味がわからない」