メカニズムは「逆断層型」 南海トラフ地震を促進する方へ動く

 ―――今回の日向灘の地震は、プレート同士が押し合い片方がずれ上がる「逆断層型」で、南海トラフ地震とメカニズムが同じということですが、南海トラフ地震との関連性をどう見ていますか?

 「メカニズムは同じですが、規模が違います。南海トラフは700km以上にわたりますが、8日の日向灘はおそらく約40kmですから、1%ぐらいの面積、ほんのわずか動いたぐらい。わずかなんですが、メカニズムが一緒ということで、南海トラフ地震を促進する方へ動いたんですね。トリガーになるかどうかはまだわかりません。ただ、ちょっと促進する方へ動いたので注意が必要というのもあります」

 ―――南海トラフ地震については「30年以内に発生する確率は70%」とよく言われますが、これは変わりませんか?

 「変わりません。それに加えて、さきほどの数字があったように、ほんのわずかですが上がりました。南海トラフ地震は、分割して起こる場合もあります。昭和には『東南海地震』があり、その2年後に『南海地震』がありました。その前の安政の時には、東半分の『東海地震』が先に起こり、31~32時間後に『南海地震』が起こりました。そのもう1つ前の宝永の時はいっぺんにいって、規模が非常に大きく、富士山が後で噴火しました」

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 ―――南海トラフ地震で、関西では震度6弱・6強・7など、非常に大きな揺れが想定されています。

 「関西への影響も非常に大きいです。比較的揺れが小さいと予想される地域でも、5強・5弱など相当な揺れが想定されています。加えて、『長周期地震動』もあります。東日本大震災の際は、大阪府の咲洲庁舎が約2m揺れ、液状化も起こりました。遠くで起こった地震でも長周期地震動は非常に広く伝わり、高層ビルやマンションが大きく揺れます」

 ―――南海トラフ地震が起こるときには、2~3分前に“大きい地震が来る”ということが『緊急地震速報』で分かるのでしょうか?

 「緊急地震速報というのは、地震が起こった瞬間に近くの地震計で捉えて電波で送り、“もうすぐ揺れますよ”と伝えるものです。地震予知とは違います。場所によっては、2~3分もかからないうちに揺れを感じるでしょう」