ホームレスが見過ごされないために
ホームレスの把握・支援方法に関する研究を行う田中きよむ教授は、ホームレスを“他人事”だと思わないでほしいと訴える。

高知県立大学 社会福祉学部 田中きよむ 教授
「(この暑さの中)熱中症などで倒れて病院に担ぎ込まれたときに、病院がどこまで対応してくれるのか、緊急な状況のときに、周りの人に救急車を呼ぶなど必要な対応をしてもらえるかということを心配しています。
多くの人はホームレスを自分事として見ていません。人間としてきちんと仕事をして、収入を得て、家庭を持つということから落後した人で、自分とは違うという見方です。ホームレスが路上に座っていたり横になっていたりすると、みんな汚いものを避けるかのように通り過ぎて、誰も声なんかかけませんよね。
しかし、ホームレスの4割はそれまで会社員でした。きのうまでネクタイをしていた人が、きょうはホームレスになる可能性があるんです。だって、家賃が払えない状況は誰しも直面する可能性がありますから」
一方でホームレスの中には、その生活を自己選択している人もいて、支援を届けるには信頼関係を築く必要があるという。
高知県立大学 社会福祉学部 田中きよむ 教授
「我々は『家もないので困っているだろう』と思いますが、大変な状況だからといって、すぐにSOSを求められるわけではありません。『誰でもいいから助けて』『この場から救って』とは必ずしも思っていない場合もあります。
コミュニケーションがちょっと難しかったり、得意じゃなかったりする人もいますし、(熱中症など)いざというときにSOSを発しても良い相手だと思ってもらう関係作り、信頼関係を作ることが長期戦になるということも懸念されます」