『俺もう駄目かもしれない』上京した息子からのメッセージに母は

新型コロナが猛威をふるっていた2020年3月、文科省は学校再開のガイドラインを公表。小学校や中学校・高校は比較的早く再開に踏み切ったが多くの大学ではオンライン授業が続き、8か月後に文科省が対面授業の実施を呼びかける異例の事態となった。

孤立を深め、心身に不調をきたす若者たち。その姿に戸惑ったのは、元気な我が子を見慣れてきた親たちだった。

栃木県に住む女性。1人息子は念願の大学に入学し、一人暮らしをしていた。

大学生の母親
「都会への憧れと一人暮らしをしたいと。合格したときはハイタッチして走り回って喜んで涙ボロボロで…」

しかし大学の構内に入ったのは健康診断の1度だけ。サークル活動などもなく、オンライン授業だけが続いた。

大学生の母親
「1日中家の中でパソコンと向き合って友達もできないし独りぼっちだった。最初は簡単な自炊とかしてたみたいですが、そのうち体が疲弊しちゃって、やる気を全て失っちゃったみたい」

東京に知り合いは一人もいない。人と交流したいと飲食店のアルバイトに応募したが、新型コロナの影響で営業が縮小、採用は取り消された。すると徐々に息子の様子が変わってきたという。

大学生の母親 
「夜中2時ごろに息子から『俺もう駄目かもしれない』ってメッセージを見た時はもう本当にやばいと思って電話するんです。2時間くらい朝まで電話で『もう辞めたい、休学したい』と」

上京し息子の様子を見に行くと、部屋の中には服やごみが散乱。冷蔵庫は空や飲みかけのペットボトルでいっぱいだった。夏休み明けの2020年9月以降も対面授業が開かれないと知り、大学を休学して実家に戻った。新しい大学に入学し直し、今は元気に通っているという。