日銀が7月の決定会合で、政策金利の0.25%への引き上げを決定しました。これまで日銀は、利上げの条件として、『安定的持続的な物価上昇率2%』という目標達成が見通せたら、と説明してきました。
しかし、今回は「円安による物価上振れリスク」に加え、『緩和の度合いを調整』という新たな理屈まで登場させ、そのロジックを大きく変えました。

植田総裁「この辺でということ」
注目された決定会合、事前の予想では、「利上げ見送り」が多数派でした。それだけに、利上げ決定後の植田総裁の記者会見では、「なぜ、このタイミングで利上げに踏み切ったのか」と繰り返し質問されました。
会見終了間際に、植田総裁が自分の言葉で語った言葉が本音をよく表しています。
「新年度に入ってデータがある程度まとまってきたこと。すこし早めに調整した方が、後が楽になること。2%を超えるインフレがもう長く続いていて、さらに上に行くリスクもあることを考えると、この辺でということかと思った」と述べたのです。
これまで「物価目標」の「達成の確度」によって、利上げを判断していくとしていた説明に比べると、「この辺でということ」と、かなり「ざっくり」とした言い方で、理論派の経済学者である植田総裁の本来の姿とは違った印象を受けました。