利上げの最大の理由は、円安是正
この発言からは、今回の利上げを決めた具体的な理由は、円安であったことがうかがえます。
植田総裁は会見で何度も、輸入物価の上昇が物価を上振れさせるリスクに言及しました。
円安による物価上昇が消費を冷え込ませるとの懸念の声は、各界から出ていました。
4月に「円安は無視できる範囲」ととられかねない発言をして、いわば「痛恨のエラー」を招いた植田総裁としては、継続的な利上げ姿勢を示すことで、円安是正につなげたい思いがあることは間違いありません。
逆に利下げを見送れば、折角150円台半ばにまで円高方向に戻した円相場が、再び円安の逆回転するリスクもあったことでしょう。
もっとも、中央銀行が為替を目的に金融政策を変更したとは、表立って言えません。そこで持ち出されたのが、「金融緩和の度合いの調整」という新たなロジックでした。