日米外交どうなる? トランプ陣営に対する日本の“秘密兵器”とは
小川彩佳キャスター:
ワシントン支局の涌井記者に聞きます。アメリカ・ファーストを標榜するトランプ氏が再選した場合、ウクライナ情勢にどう影響してくるのか、非常に気がかりですね。

ワシントン支局 涌井文晶 記者:
トランプ氏はアメリカ・ファースト、つまりアメリカ第一主義なので、ウクライナに兵器を送る資金があるなら、その資金を国内の課題に優先して回すべきではないかという考え方を根底に持っています。
トランプ氏は、大統領に就任すればウクライナ侵攻を「24時間で終わらせる」と豪語しており、アメリカによるウクライナ支援をできるだけ早く終わらせたいという意向が強くにじんでいます。
トランプ氏はどのように侵攻を終わらせるのか具体策を示しておらず、ロシアに有利な形で終戦に持ち込もうとするのではないかともみられていて、ウクライナやヨーロッパ諸国に警戒感が広がっています。
小川キャスター:
次は星さんに聞きますが、トランプ氏の再選によって、ウクライナへの影響はどう出てくるのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
まずヨーロッパについて考えてみると、トランプさんはウクライナからの撤退や、NATOに対する分担金をもっと増やせというようなことを言っています。
それから今、ヨーロッパではイギリス、フランス、ドイツと、どちらかというと“反トランプ”のリーダーがいます。たとえばウクライナからの撤退と、それからもう一つ、温暖化防止の枠組みからの撤退ということに対してはものすごく反発が強いので、そのあたりの摩擦は相当強まってくると思います。
小川キャスター:
こうした外交ということを考えると、日本もまさに向き合うことになるわけですが、バイデン大統領が撤退した今、その外交のシナリオに何か変化はありそうですか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
バイデン政権は、日本との関係では比較的うまくやってきました。一つは、バイデン政権は同盟重視というスタンスです。たとえば中国に向き合うのも、日本や韓国という、同盟の枠組みで向き合いましょうと。
それから、温暖化の問題も含めて、多国間の枠組みを大事にしましょうと。どちらかというと、その継続がハリス副大統領の路線なので、比較的やりやすいということです。
一方でトランプさんは、対日政策では防衛費を増やせということもありますし、交渉は同盟国と一緒にやるというよりも、たとえば“米中”や“米朝”など、二国間で解決しようと動き出します。日本の頭越しでやられる懸念があるので、そこは要注意です。
温暖化の問題などでも離脱を言い出しかねないので、そこは日本側からかなり強く説得しないといけないと思います。
藤森祥平キャスター:
トランプさんになった場合、前政権の経験を日本政府としても活かしながら、今のうちに布石を打つことはできているのでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
実は日本にも隠し玉というか、秘密兵器があります。安倍政権のときに高尾直さんという非常に優秀な外交官がいて、今は中国の日本大使館で働いているのですが、かつて高尾さんは安倍さんの通訳をやっており、実はトランプさん本人やトランプ陣営にものすごく評価されています。
この高尾さんを中国大使館からワシントンの大使館に移動させようという計画になっており、高尾さんを事実上のトランプ番にして、情報収集や説得、トランプ陣営に対する説明にあたらせようという動きがあります。
そういう点では日本だけでなく、各国とも情報収集に余念がないですし、新しいアメリカの動きがどうなっていくのか、一挙手一投足を今世界中が注目している状況です。