「個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する」最高裁は憲法違反と断定

(北三郎さん)
「自分の体はもう取り返せない、人生も取り返せない」
「一言でもいいから国に謝ってもらいたい気持ちがあります」
そして迎えた注目の判決。
7月3日、15人の裁判官全員で構成される最高裁大法廷は、旧優生保護法について、「特定の個人に対し生殖能力の喪失という重大な犠牲を求める点で、個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する」として、憲法違反と断定しました。
そして旧優生保護法の立法目的は、「当時の社会状況をいかに勘案したとしても、
また、改正前の民法が定めた除斥期間(=賠償を請求する権利は不法行為から20年が経てば消滅するという原則)について、最高裁大法廷は「今回の原告らに適用することは、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない」と指摘。原告らの賠償請求権を認めました。
そして、4つの上告審の8人の原告に対し、総額1億円あまりの賠償を国に命じました。(原告側が2審で敗訴していた仙台訴訟は、賠償額を審理するため仙台高裁に差し戻し)

東京訴訟の原告・北三郎さん(81)
「こんな嬉しいことはありません」
「(他にも被害者はいるので)まだ全面解決になっていないんじゃないか」
「みなさんの全面解決をしてもらいたいという気持ちでおります」
兵庫訴訟の原告・小林宝二さん(92)
「喜美子も天国から見て喜んでくれていると思います。この判決を待っていました。(提訴から)6年間、長かったです」
最高裁大法廷は判決で、本人の同意があった不妊手術も「そうした同意を求めること自体が個人の尊厳に反し許されない」として、強制にあたるという見解も示しました。
司法府の頂点である最高裁が、“時の壁” による免責を認めず、行政府と立法府を厳しく断罪した歴史的な判決となりました。
(MBS大阪司法担当 松本陸)