震災直後、“ファミレスで美味しいもの”が「夢のようなこと」
半年前の1月8日、雪が降る中、子どもたちの声が響いていました。
亮吉くん「替える服がないから服が欲しい」
恵吉くん「友達の情報。どこにいるとか」

父親の坂口竜吉さん(47)は和食店「のと吉」の店主。自宅と店は全壊しました。

坂口竜吉さん
「子どもたちとお風呂に入ったあと、ファミレスに行って美味しいものをいっぱい食べて帰ってこようという、夢のようなことですけど、そういう話をすることが一番大切で」
坂口さんの半年を追いました。
「こんな美味しいもの」避難所で食事の提供
2月2日、再び坂口さんの元を訪ねると…
坂口竜吉さん
「今は家族で二次避難して移っていて、僕だけ往復するような感じで。子どもたちの大切なもの、写真とか取り出せるものは取り出して」

中でも、輪島塗の食器には“特別な思い”があります。
坂口竜吉さん
「これが叔父さんの蒔絵の。こういう蒔絵をする人で、大好きで」

坂口さんの叔父・市中圭祐さんは輪島塗の芸術家。朝市に住んでいましたが、火災で亡くなりました。

坂口竜吉さん
「叔父さんの顔が浮かんでくるくらい思い入れが強い漆器なので。形見のようなものなので、ずっと使い続けようと思います。小さなお店をまた建てて店を再開させたい」

地震から5か月が過ぎた6月3日、最大震度5強の揺れが再び輪島の街を襲いました。
その翌日、避難所の横のテントに坂口さんの姿がありました。料理人の仲間と3人で、避難所で暮らす約60人分の食事を用意しています。

避難している住民
「きょうもこんな美味しいもの、手間がかかっている」
土日も休みなく炊き出しを続けますが、余震の不安も抱えています。
坂口竜吉さん
「いまは解体を待っている状況。昨日の震度5強は1月1日の揺れを思い出したし、リスクとの共存は続くので」
