避難中の母親が突然帰らぬ人に「1回は話したかった、会いたかった」

夫婦で営むこの眼鏡店は半年前、ガラスが割れ、商品が散乱していましたが、今は綺麗に片付けられ、営業を再開。妻の恭子さんは、店に来た人から被災経験を聞くことも多いといいます。

メガネ・時計店「キロク」 木下京子さん
「聴くだけしかできないけどね、店ってそういう役割もあるかなって」

しかし、京子さん自身も大切な人を亡くしました。母親のたけのさん(93)。最後に会ったのは昨年末でした。

メガネ・時計店「キロク」 木下京子さん
「『京子に会うと母ちゃん元気になる』と言っていた」
震災前は大きな病気もなく健康だったたけのさんですが、かほく市の家族のもとに避難して1か月が経ったころ、突然、帰らぬ人となりました。
メガネ・時計店「キロク」 木下京子さん
「家の片づけと店の片づけに毎日追われていて、『明日必ず電話しよう』と思っている間に死んじゃった。1回くらいは話したかった、会いたかった」
遺影の隣には、たけのさんが大好きだった実家のアジサイを置いています。

メガネ・時計店「キロク」 木下京子さん
「人の話をたくさん聴くけど、自分の話はなかなかできないので。生きることって、胸に色々抱えて、それをおさめて毎日を送ることなのかなって思う」