旧優生保護法のもと不妊手術を強制された人たちが起こした全国5つの裁判について、最高裁は統一判断を示すための審理を29日から始めます。裁判の最大の山場を前に、不妊手術を受けさせられ長年苦しんできた宮城県内に住む70代の原告の女性は、いま何を思うのか、取材しました。

「子どもを産み育てる」生き方を奪われた女性

およそ60年前に撮影された1枚の写真。徒競走の先頭を走っているのは飯塚淳子さん(仮名)です。このとき、中学3年生でした。

飯塚淳子さん(仮名):
「中学生らしいなという感じ。まだ子ども。(写真が)よく残ってたね、これしかないもんね」

飯塚さんはこの翌年、「旧優生保護法」に基づく不妊手術を強制されました。16歳にして、「子どもを産み育てる」という生き方を奪われたのです。

今は70代となりました。

飯塚淳子さん(仮名):
「普通に結婚して、子どもがいて、孫がいて、幸せな家庭。友だちのところに行くと、いつもうらやましいと思う。もう本当に旧優生保護法のことだけで、人生が終わりです。とても残念です」