「頑固」の指摘も「彼は変化し続けている」
市議の頃、頼氏に対し何度も議会で「独立派だ」と迫った謝氏だが、最近の頼氏に「変化」を感じているという。
元台南市議 謝龍介氏
「頼氏は“現実的な台湾独立工作者”(行政院長時に発言)ではなくなりました。それは彼が若い頃の理想の類です。実際は早い時期から変化が伺われます」
あれだけ議会で頼氏の発言に噛みついた謝氏だけに、これは意外な指摘だった。頼氏は蔡英文総統の路線を引き継ぐことを公言し、台湾独立や中国による一国二制度ではなく「現状維持」を強調している。一方、中国政府からは独立勢力とみなされ、総統選では他の候補からも過去の「独立発言」について批判を受け続けた。「まっすぐで、融通が利かない、頑固」という声も聞かれる頼氏だが、“最も粘着する男”は頼氏の変化を感じるとともに、期待を寄せている。
元台南市議 謝龍介氏
「台南市長、行政院長、さらには副総統になり、ステップアップするにつれ、衝動的な台湾独立の訴えは国際社会から見ればタブーだということを理解したのでしょう。頼氏は2020年以降、公に独立を主張したことはないです。彼も変わりつつあるのです。総統選の得票率も40%程度だから、今後は中間路線へと切り替えると私は予測しています」
謝氏は1月に行われた選挙で立法委員に初当選した。二人は今後、舞台を台南市から中央に移し、総統と立法委員という立場で対峙することになるが、現在の心境を野球に例え、こう明かす。
立法委員 謝龍介氏
「これは延長戦ですね(笑)。頼氏は地方から出世し続けて、今まさに総統に就任しようとしている。彼は党のトップでもあるので、現時点で私は2対0で負けています。しかし私は今、立法院にいます。ランナー2塁といったところでしょうか。もちろんランナーを生還させ得点するつもりです。頼清徳投手はどんな球を投げるのか。打てるかな…」