合意文書には一体どんなことが書かれているのでしょうか。公開されている内容を確認すると、「私はこの合意について誰にも脅されていないし無理強いされていない」「私は有罪で罪状を認める」などとあり、水原被告の直筆のサインと日付が入っています。

 水原被告が認めた2つの罪を見ると、銀行詐欺罪では最高で禁錮30年、虚偽の納税申告をした罪では最高で禁錮3年とされていて、禁錮の上限合計は33年となります。また合意書では“禁錮に加えて最高で5年間の監視付き釈放”とあります。村尾弁護士によりますと、これは何年間かの服役した後に、例えば▼居住エリアの限定▼カジノへの立ち入り禁止▼更生プログラムへの参加、といった内容になる可能性があるということです。ただ、この期間については裁判官が最終的に決定するもので、制限がつかない可能性もあるということですが、村尾弁護士は75%くらい何かの監視付き釈放はつくのではないか、としています。そして監視の方法については、例えば▼アプリのダウンロードが指示されGPSで行動把握▼電話を持たされ電話でどこにいるか把握、などが考えられるということです。

量刑ガイドライン“レベル25”

 次に注目するのは水原被告に下される量刑について。アメリカには法定刑の範囲の中でどれだけの刑罰を科すかの目安となるレベル示す「量刑ガイドライン」があります。犯罪歴と量刑レベルによって段階があり、これを目安に、最終的には裁判官の判断で禁錮の期間が決まります。

 そのうえで今回の水原被告の合意書から、村尾弁護士は「レベル25で手を打ったのではないか」と話します。その理由として合意書の中で▼水原被告は裁判所がレベル25“以下”の禁錮刑を科す場合…同意する▼検察側は裁判所がレベル25“以上”の禁錮刑を科す場合…に同意する、との記述があることをあげています。つまり双方が合意するのはレベル25だけというのです。量刑ガイドラインでレベル25の場合は、仮に初犯であれば、禁錮57~71か月、約5~6年となります。

 さらに、もし禁錮刑となった場合のその後について、村尾弁護士が教えてくれたのは「プリズンコンサルタント」という存在。刑務所の中での暴力などから身を守るためのアドバイスをしてくれるのがプリズンコンサルタントで、護身術や刑務所内の社会での振る舞いなどについて教えてくれ、受刑者が希望すれば自費で雇うことができるということです。