■『困った子』ではなく『困っている子』 SOSを出せる環境作り

子どもたちを孤立させずSOSをすくい取る。特別な取り組みをしている学校があります。

神奈川県立田奈高校。
“支援と教育”を掲げていて、入試は学力テストが無く、面接のみです。活発な子のほか、一部には様々な課題がある生徒も通っています。

生徒の孤立を防ぐため、まず取り組んでいるのが、勉強を基本から“学び直す”授業です。

もし授業についていけず中退すれば、社会から“孤立”する心配がある。様々な事情から学力が十分身についていないこともあるため、フォロー役の教師も参加し、生徒を支えます。

ーー4分の2から4分の1を引くと、残りはいくつになる?

生徒
「4分の3!」
「絶対テスト赤点。こないだ裏面できなかった」

ーー難しいもんな。でもさ、出来る問題増やそう。

もうひとつ大切なのは、“SOSを出しやすい”環境を作る事です。

人間関係の悩みを抱え、教室に入れない生徒には、授業中でも教師は相談に乗っていました。

神奈川県立田奈高校 井澤純副校長
「基本的に『困った子』ではなく『困っている子』。子ども達側の視点で、我々大人が考えて接していけるといい」

■「何かあった時に、浮かぶ顔になることが大事」

学校関係者以外の大人も、子どもたちの力になろうとしています。
 
生徒を出迎えたのは、NPO法人のスタッフとボランティアです。週に一度、放課後の図書館でお菓子や飲み物を配り、生徒たちの“居場所”を作っています。

ーー家にいたくない時は?

高校1年生
「ありますね」

ーーこういう居場所が無かったらどうする?

高校1年生
「たぶん(駅前)とかでうろちょろしてると思います」

同じ時間を過ごして少しずつ信頼関係を築き、生徒たちと一緒に悩みの解決方法を探していきます。

NPOパノラマ 石井正宏代表
「過去や背景を関係なく、向き合ってくれる大人。何かあった時に、浮かぶ顔に僕たちがなることが大事かなと思います」

高校3年生
「居場所がいっぱいできた。自分の家以外での居場所が心地いいなって思います」