学ぶことを望む人が、学べる社会に

大谷さん「朝、新聞を見て、涙が出るようでしたけど、結構普通に過ごしてしまいました。胸にこみ上げるという感じではないが、特別な日なんだなとしみじみ感じています」

中学生のときに、不登校となった弟の達雅さん。学び直すことを強く望んでいましたが、病気で亡くなりました。

大谷さん「達雅さんのことがあって、福島の人が同じ思いをする人がこれで少しでも減るといいなと思いました」

学ぶことを望む人が、学べる社会になること。これが、大谷さんの原点です。10年以上の悲願だった公立校の開校。大谷さんたちが運営する自主夜間中学からも4人が「転校」しました。

大谷さん「私たちが始めたささやかな運動がここまで多くの人に参列していただけるほどに結びついてきたこと、とても嬉しくありがたく思っています。市長の英断に感謝です」

一方、入学式を終えた生徒たちは、初めてのホームルームに臨んでいました。笑いが絶えない、夜の教室。先生たちは、エジソンやヘレンケラーのエピソードを交えながら、あきらめないことの大切さを伝えました。

1学年担任・山田光裕さん「強い意志をもって、この場に来て、入学式に臨み、一歩前に踏み出そうというみなさんとこういう機会を持てたことは、私たちとしても、非常に感動しています」

天神スクール最初の夜は、こうして幕を降ろしました。

自主夜間中学から転校した鈴木直幸さんは…。

鈴木直幸さん「中学生になったなという感じがします。昔の中学校の懐かしい感じがします。将来は学んだものを、身につけたものを生かして、世の中のことをもっと知りたいなと思います」

福島市に新たに灯った夜の教室の光。生徒は、それぞれの思いを胸に、きょうも机に向かっています。