哉子さんは学生時代に男性、女性、両方が恋愛対象であることに気づきます。


21歳の時、憧れていた警察官になると、女性として初めて機動隊に起用されるなど、順風満帆なキャリアを積み重ねてきました。しかし・・・


岸本哉子さん
「警察官になった時も、大事な人が彼女がいたんですけど、警察学校に入って、社会を初めて見た時にやっぱり普通じゃないんだ。みんなと自分は違うんだ。と思って一方的に別れをつげて、相当傷つけて」

そして、24歳の時に男性と結婚し、ふたりの子どもを授かりますが、30代前半で離婚。数年後、現在のパートナー・利奈さんと出会いますが、再びつらい思いをしたといいます。

岸本哉子さん
「悪いことをしてるはずじゃないのに、悪いことしているような感じ。周りの人もそこに当事者はいないという前提でそういう会話をする。『気持ち悪い』だったり、ひどいことで言えば『死ねばいいのに』とか」

嘘をつき続けることで心が壊れていった哉子さん。仕事のパフォーマンスが下がり、飲酒量も増え、時には自傷行為におよぶことも。


去年6月、23年間務めた警察をやめ、そのタイミングで、自分がLGBTQ当事者であることをカミングアウトしました。

岸本哉子さん
「(Q.なぜカミングアウトした?)同じような思いをする人をなくしたいなっていう思いが強くなって。好きな仕事でもあったし、本当に誇りを持っているので、給料も0になるし、でも死にはしないかなと思って」

周囲が反対する中、哉子さんの背中を優しく押してくれたのは幼馴染でした。

和崎綾さん
「LGBTQに対しての理解を私すらしてなくて、すごく仲いいのに。それが絶対に正解になるように一緒にお手伝いができたらなって思ってるし、哉子しかいないかなって」

新垣華さん
「哉子が自分のカミングアウトの理由が、自分が辛いからとかじゃなくて、自分がこれまでたくさんの人を傷つけたって言ったの。哉子が立つんだったら、私たちは絶対後ろで支えるよって思ったから、絶対やって!って」


哉子さんの長女・祭さんは高校2年生。母のパートナーである、利奈さんとは5歳の頃から生活を共にしています。

娘・祭さん
「お姉ちゃんみたいな存在なので、今でもお姉ちゃんみたいな感じです」
「(Q.何て呼ぶ?)利奈ねぇちゃん」
「(Q.あんまり驚かなかった?『本当はお付き合いしてるんだよ』みたいな最初は驚いただけで、あとは別に『へ~』みたいな感じで」

津波利奈さん
「(Q.パートナーの娘さんはどんな存在?)やっぱり好きな人の子どもなので可愛いですね。姪っ子みたいな感じにはなりますけど」

今後は、同性婚に向けての活動も視野にいれている哉子さん。性の多様性について理解を広げる哉子さんの活動は、平等な社会の土台づくりとなっています。


岸本哉子さん
「すぐそばに、言えないだけで、みなさんのすぐそばにも。もしかしたら、大切な人が当事者かもしれないっていうのを知って欲しい。あとは、理解するのは難しいと思うんですけど、お互い存在しているっていうのを認め合って、隠さずに、みんながいきいきと生きていける社会になって欲しいなって思います」

性別にとらわれずに誰もが自分らしく生きられる社会の実現を目指して。哉子さんの取り組みは続きます。

オーダースーツは、ジェンダーレス以外の商品も扱っているということです。詳しくは「マイロ」のインスタグラムをご確認ください。