職人集団が取り組む『空飛ぶトラック』

 そんな職人集団が来年の万博で取り組むのが、今までにない『飛行船』です。ヘリコプターなどに代わる未来の輸送手段として有効だと考えたのです。
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 従来の飛行船は、下降する際にプロペラなどを使う必要があり、垂直に降りることができません。しかし、この飛行船は、内部のヘリウムガスを圧縮することで浮力を調整して、上下することができます。実現すれば道がない場所でも一度に大量のものを運ぶことが可能で、木材や被災地への支援物資の運搬などが想定されています。
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 (高満洋徳社長)「長時間滞空できて、なおかつ物が運べる、『空飛ぶトラック』。世界中の課題を理解した上で、僕たちが知恵を出していくっていう、そういうことをやりたい」

 まずは簡単な模型を使って飛行に最適な仕組みを探ります。

 (高満洋徳社長)「プロペラだけ回してみようか」
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 航空関係の専門家もチームに加わり、万博では飛行船の根幹となる可変浮力装置などを展示する予定で、将来的な大型機の製造につなげたいと考えています。参加する町工場は12社、金属加工などそれぞれの専門分野でプロジェクトに携わります。

 メンバーの一人で溶接職人である柊谷熔接所の柊谷篤司代表は、町工場の後継者不足が課題となる中、万博は「ものづくりの魅力」を広く知ってもらうきっかけになると期待を寄せます。
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 (柊谷篤司代表)「町工場の小さいところが万博に出て、問題を解決できるところまで持っていけるんだよ、と知ってもらうことでたくさんの職人がそろえば、技術も上がるし賃金も上がる。付加価値も上がってくると思う」
 (高満洋徳社長)「万博を通して『大阪の町工場に全部相談来い』『おれらが全部解決する』と、そういったところを打ち出せたら、ビジネスにもどんどんつながっていくと思っているので」

 それぞれの未来への思いが集結する万博まで、あと1年です。