「拉致問題解決問わず首脳会談を」37% 岸田総理の訪朝の後押しに?
岸田総理は就任以来、拉致問題など諸懸案の解決のために「条件をつけずいつでも金正恩総書記と直接向き合う」と首脳会談へ意欲を示している。
今回、北朝鮮の金正恩総書記との首脳会談を行うべきかどうか聞いたところ、
「拉致問題の解決にかかわらず会談を行った方が良い」が最も多く37%、次いで「拉致問題の解決が見通せるなら会談を行った方が良い」で29%だった。

ただ、金与正朝鮮労働党副部長は立て続けに談話を発表し、拉致問題を「これ以上解決することもない問題」、首脳会談についても「自分が望むからといって会うことができるわけではない」「首相の人気集めのための構想」などと強く牽制、3月26日には「日本側とのいかなる接触も拒否する」と表明した。
小泉総理時代の2002年は外務省の田中均アジア大洋州局長(当時)が極秘で北朝鮮側と交渉を続けてきたが、今回は金与正氏が「最近あるルートでできるだけ早い時期に(正恩氏に)直接会いたいという意向を我々に伝えてきた」と談話を表明。さらに29日は駐中国大使が日本側からの接触提案があったと暴露するなど、水面下の交渉が難航していることがうかがえる。長年拉致問題に取り組んできた閣僚経験者は「前回は極秘に進んだが今回は筒抜けだ。前回ほど北朝鮮も経済支援を求めておらず、首脳会談を行うことにメリットを感じていない」など首脳会談は容易ではないとの見通しを語っている。ただ一方で「安倍さんだったら頑なに拒否しただろうが、岸田さんだったらまだ可能性はあるのではないか」とも話す。4月10日(現地時間)に行われる予定の日米首脳会談でも、岸田総理が北朝鮮との交渉についてどの程度言及するかも注目だ。
(4月JNN世論調査結果概要は以下の通り)
●岸田内閣の支持率は22.8%。前の調査より0.1ポイントの下落。6か月連続過去最低を更新。不支持率は75.0%で前の調査より0.6ポイント上昇で4か月連続で過去最高を更新。
●政党支持率では自民党の支持が25.0%(0.3ポイント上昇)。立憲民主党は6.1%(1.0ポイント下落)。日本維新の会は4.3%(0.3ポイント上昇)。
●政治倫理審査会に出席した安倍派・二階派7人について、説明責任を「果たした」が4%、「果たしていない」が83%。
●実態解明のため森喜朗元総理への聴取が「必要だと思う」が77%、「必要だとは思わない」が13%。
●新たに聞き取りが行われた安倍派の幹部4人について、「除名」や「離党勧告」といったより厳しい処分が「必要だと思う」が61%、「必要だとは思わない」が26%。
●岸田総理自身も処分を「受けるべきだ」が62%、「受けるべきではない」が23%。
●次の衆議院選挙で、「自公政権の継続をのぞむ」が32%、立憲民主党などによる「政権交代をのぞむ」が42%。
●岸田総理が、北朝鮮の金正恩総書記と首脳会談を行うべきかどうかについては、「拉致問題の解決に関わらず会談は行ったほうが良い」が37%、「拉致問題の解決が見通せるなら会談を行った方が良い」が29%、「拉致問題の解決が見通せないなら会談を行うべきではない」が23%、「拉致問題の解決に関わらず会談は行うべきではない」が9%だった。
●日英伊で共同開発する次期戦闘機を、政府が紛争国は除外し、同盟国などに限定して輸出する方針を閣議決定したことについて、「賛成」が42%、「反対」が40%。
【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。
3月30日(土)、31日(日)に全国18歳以上の男女2190人〔固定910人、携帯1280人〕に調査を行い、そのうち47.3%にあたる1036人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話528人、携帯508人でした。
インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。
より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。
TBSテレビ政治部 世論調査担当デスク 室井祐作