「ヨーロッパの大温泉都市群」(英語名:The Great Spa Towns of Europe)は、欧州7か国の11の都市がまとめてひとつの世界遺産として、2021年に登録されました。

ドイツの温泉保養地は“熱海のスーパーアップグレード版”?

ドイツの世界遺産「バーデン=バーデン」

番組「世界遺産」でまず撮影したのはドイツのバーデン=バーデンという街。バーデンとはドイツ語で「入浴する」という意味で、まさに温泉と共に栄えたヨーロッパ有数の温泉保養地です。

フリードリヒ浴場・ドームの下の丸い温泉

代表的な入浴施設であるフリードリヒ浴場は日本人のイメージする「温泉浴場」とはかなり違い、まるで博物館のような荘厳な建築物で、高いドーム屋根の下に大きな円形の湯船があります。さらに地下には古代ローマ時代の浴場の遺跡も残っています。

バーデン=バーデンのカジノ

バーデン=バーデンは19世紀以降、温泉を中心にした街づくりが行われ、カジノなどの娯楽施設、さらに高級ホテルも建てられ、世界中から著名人が訪れています。日本の温泉保養地・熱海のスーパーアップグレード版とでも言いましょうか…一度は行ってみたい温泉都市です。

医者が処方も…イタリア・テットゥッチョ温泉は「飲む温泉」

イタリアの世界遺産「モンテカティーニ・テルメ」

イタリアのモンテカティーニ・テルメという街も、「ヨーロッパの大温泉都市群」のひとつです。

テットゥッチョ温泉・源泉の出る蛇口

人気が高いテットゥッチョ温泉は、入浴ではなく飲むための温泉施設。ここも番組で撮影したのですが、列柱が建ち並ぶ古代ローマ風の立派な建物の中に、温泉が出る蛇口がいくつも並んでいます。

テットゥッチョ温泉で温泉を汲む湯治客

湯治客は、そこからコップに温泉を汲んで飲むわけです。テットゥッチョ温泉には成分の違う4つの源泉があり、蛇口それぞれに源泉の名前が表示されています。どの源泉をどれくらいの割合で、どんな分量で飲むと良いのか…常駐する医者が処方してくれるそうです。18世紀から温泉を使った医学が流行し、モンテカティーニ・テルメもその波に乗って「飲む」温泉保養地として栄えてきたわけです。