「備蓄の落とし穴」のトイレ 備えのポイントは

一方、実際にトイレを備えている人は多くない。名古屋の街で聞いたところ、食料や水を備えている人は8割以上いたのに対し、トイレを備えている人は3割ほどだった。

加藤さん
「水や食料は、日常会話の話題になる。しかし、排せつは会話に出てこない。話題にならないことは災害時の備えに思い至らない。ここに落とし穴がある

確かに普段から排せつの話をすることは極めて少ない。加藤さんは「困ったときでも、トイレの悩みは周りに言いづらく、一人で抱え込みがちになる」と指摘する。

しかし、どんなトイレを備えるか?これは会話の材料にもなりそうだ。加藤さんに携帯トイレ選びのポイントを聞いた。

<携帯トイレ 選ぶポイント>
①使いやすさ 

つけるだけで「いつものように使える」もの
②吸収量
尿や便が漏れずに使える吸収量があるもの
③個人が大事にしている付加価値
臭いが気になるなら臭い対策、大きさ重視ならコンパクトなものを選ぶ

さらに、加藤さんは「地震が起きるまでに1回使ってみること」が大事だと話す。

加藤さん
「トイレは毎日何回も行くもので、習慣化されている。習慣化されているものは、急にやり方を変えられると戸惑っていつものようにできなくなる。安全なうちに一度でも使っておくと、心のハードルが下がる」

ちなみに、備えとして、携帯トイレ以外にあると安心なものは次の通り。

<携帯トイレ以外にあると安心なもの>
①トイレットペーパー

災害後、店頭からなくなる可能性も。
②照明
停電でトイレが真っ暗になることも。両手が自由になるヘッドライトやランタンなど。
③ウェットティッシュ、アルコール消毒など
断水中は、手が洗えない。
④消臭袋や蓋付きの容器
携帯トイレは臭いを完全に抑えることは難しい。使用済みの携帯トイレは防臭袋や、蓋つきの容器などにまとめて入れることが効果的。そして、庭やベランダなどに置き、生活空間から排除する。