逆流の危機も…安易に風呂の水で流さない
災害時に断水しても「貯めておいたお風呂の水で水洗トイレを使おう」と考えている人も注意が必要だ。地下の排水管が破損しているかもしれないからだ。それに気付かず、皆がトイレを使い続けると、排せつ物が逆流し、室内にあふれてしまうことも…。

加藤さんは改めて「災害時、まずは携帯トイレを取り付けることが大事」だと強調した。下水道の使用に制限がかかる場合、HPで情報を公開する自治体もある。水洗トイレの使用を再開するのは、自治体の情報を確認してから。これはマンションでも、戸建ても同じだ。
加藤さん
「下水道の状況がわかって、水洗トイレが使えるとわかれば、携帯トイレを外せばいいだけ。その逆はできない。まずは携帯トイレを取り付ける」

加藤さんは「トイレ問題は災害のたびに繰り返してきた」と話す一方、備えの関心は高まっていると感じている。国が、今後40年で90パーセントの確率で予想されるとする南海トラフ巨大地震。避難者は全国で最大約950万人にのぼる。異次元の災害に、「個人の備え」が重要なのは言うまでもない。
加藤さん
「女性や子どもは停電中の夜など、外の仮設トイレに行くのは本当に怖いと思う。残念ながら、日本でも、被災地では性犯罪も起きている。トイレという場所をいかに快適で、安心できる場所にするかというのは本当に大事」
人の数だけ排せつはある。トイレを「備蓄の落とし穴」のまま、済ませてはならないのだ。