競技歴わずか1年で全国2位も…
初めて出場したレースで「後ろから2番目の選手の周回遅れというダントツ最下位だった」と苦笑いする川野だったが、ここから一気に頭角を現す。
競技歴わずか1年あまりの高校2年生のインターハイ男子5000m競歩で銀メダルを獲得すると、翌年のインターハイでも銅メダル。年代別の日本代表にも選ばれた。

フィニッシュ後、倒れこむのはこの頃から。「世界で戦いたい、オリンピックに出場したい」という強い思いを胸に秘め、すべてを出し切る“魂の歩き”が川野の戦い方だ。
多くの屈辱も味わった。高校時代、一度も負けなかった池田がひと足先に世界陸上に出場。「練習量だけでも池田に勝たないと上にはいけない」と闘志をむき出しにして、今度は池田よりも早く東京五輪への出場切符をつかみ取る。
しかし、2021年東京五輪50キロ競歩では、レース途中体調を崩し、無念の6位。一方、池田は20キロ競歩で銀メダルに輝き、またもや池田の“後塵を拝する”結果となった。その後も貧血に悩まされるなど、苦しい1年だったはずだ。