再び、立ち上がった“虎”
しかし、川野は行く手に立ちはだかるいくつもの壁を乗り越えた。「世界陸上はあこがれていた大会。ベストパフォーマンスが出せるように頑張っていきたい」。大会前、いつもの笑顔の瞳の奥に燃えたぎるような闘志を見せていた。

距離が縮んだことで、20キロに出場していた世界の強敵が“転向”。まさに大混戦となった新種目で、持ち前の粘り強い“魂の歩き”をいかんなく発揮し、見事、銀メダルに輝いた。
フィニッシュ後、倒れこむも再び立ち上がった川野。「メダルという大きな目標を叶えることはできたがまだ金メダルは取れていない。ここで慢心せず、次の世界陸上、パリ五輪に向けて精一杯頑張っていきたい」と力強く前を見据えた。
和歌山で獲得した銀メダルから7年。“小山町の虎”から“世界の虎”へと飛躍する川野にとって、オレゴンの地で再び掴んだ同じ色のメダルは通過点に過ぎない。