敷地を埋めつくす処理水タンク「これ以上増えると廃炉作業の支障に」
9階相当の高さまで階段で上がると、息つく間もなく、大量の処理水タンクが視界に飛び込んできました。

井上貴博キャスター
「事故前は、違った景色だったわけですよね?」
東電担当者
「事故前は森のような状態になっていました」
井上貴博キャスター
「うっそうとした生い茂った木を、ある程度伐採しながら・・・?」
東電担当者
「そうですね。エリアを確保して、タンクを徐々に建設していったという状況ですね。これ以上、敷地の中に建設すると廃炉作業が進まなくなってしまう」
かつて「野鳥の森」と呼ばれた敷地内の森林は、1000基以上の処理水が入ったタンクで埋め尽くされていました。高さは10メートル以上、およそ1000トンの処理水が入ります。
福島第一原発では、高濃度の放射性物質を含む「汚染水」が、1日およそ90トン発生していて、汚染水を浄化処理して、大部分の放射性物質を取り除いたものが「処理水」です。
ただ、「トリチウム」と呼ばれる放射線を出す水素の一種は、現在の技術では取り除くことができず、海洋放出が始まるまでの間、「処理水」が敷地内に保管されてきたのです。

東電としては、廃炉作業を進めていくためには増え続ける処理水の海への放出は不可欠だという立場で、2023年8月からこれまでに4回、放射性物質トリチウムの濃度を、国の基準の40分の1以下に海水で薄めて放出しています。