地域に残る選択をする理由と背景は
筆者は1月中旬から下旬にかけて能登半島で取材を行いました。その時期は、長い避難所生活で、災害関連死リスクが高まると言われながらも、2次避難をせず断水が続く地域に残る選択をする被災者がいました。そうした選択の理由や背景を、それぞれの被災者に聞いていきました。
珠洲市宝立町で出会った80代女性はこう話します。「知らないところに行くとストレスがたまる。避難所は、知っている人同士で話ができるし、何より同じように家が潰れた被災者同士で気持ちもわかる。気持ちは張っているけど、1人になるとストレスになる。」
女性は子供や孫と避難の選択が分かれていました。
「息子と孫は2次避難したけど、私は住み慣れた場所から離れた知らない場所の景色だとノイローゼになるかもしれない。罹災証明などの書類を出さないと仮設住宅も当たらないし、ここだといつでも話ができる」
珠洲市宝立町に残ることを選んだ80代男性も、「2次避難所に行くと、帰ってきたときに避難所に入るところがなくなっているのではないか。行くところがなくなったらどうしよう、という思いもある。あとは地元の情報が入ってこなくなるのは一番困る。地元がどうなっているのか、一番知りたいことだから」
ほかの人に話を聞いても、住み慣れた町を離れたくない、情報が入ってこないことが嫌、被災者同士で話ができることが支えになっている、など理由は様々ありました。

















