(ブルームバーグ):米スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、乗客向けの機内Wi-Fiサービスでスターリンクの採用を見送ったデルタ航空に怒りの矛先を向けている。
デルタのエド・バスティアンCEOは、スターリンクの代替サービスとして新たに登場したアマゾン・ドット・コムの「Leo」を選んだことで批判を浴びている。マスク氏はこの決定を繰り返し批判。SNS「X」上のあるアカウントが、デルタCEOの発言とされる未確認のコメントを拡散したことを受け、マスク氏は9月29日、「彼はこれで職を失うだろう」と投稿した。
バスティアン氏は今年に入り、アマゾンLeoを採用したデルタの判断を擁護。5月のブルームバーグ・ニュースとのインタビューでは、同サービスはスターリンクよりも大幅に低い価格で、より優れた帯域幅を提供すると説明した。

デルタはマスク氏の発言について、コメント要請に応じなかった。アマゾンからもすぐには返答はなかった。
機内インターネット接続は、かつて有料の補助的サービスに過ぎなかったが、今や高額利用客や継続的に利用する顧客を巡る航空会社間の競争分野となっている。各社は映画のストリーミング視聴やビデオ通話、オンラインゲームが可能な高速通信を提供するとしており、Wi-Fiの品質は機内体験の優劣を競う幅広い競争の一部となっている。
デルタとジェットブルー・エアウェイズはアマゾンのサービスを提供する契約を結んでおり、ジェットブルーは来年、デルタは2028年に導入を始める。
アマゾンは7000基を超える衛星網を計画しているが、現在軌道上にあるのは約400基にとどまる。Leoの航空向けサービスも、スターリンクが現在展開している規模に近い水準ではまだ試験されていない。
一方、スペースXは1万1000基を超えるスターリンク衛星を軌道上で運用し、アクティブユーザーは1200万人に上る。マスク氏の会社のサービス導入を進める航空会社ははるかに多く、ユナイテッド航空、アメリカン航空、サウスウエスト航空などが含まれる。
マスク氏は10月1日にも騒動をあおり続け、「@Unitedも@AmericanAirも@Starlinkを導入している!」とXに投稿。航空会社のロイヤルティープログラムの乗り換えを検討する旅行者に向けた両社の競合キャンペーンを紹介した。
ユナイテッドはスターリンクを機内サービス刷新の柱に据えている。スペースXは今年、ユナイテッドの数百機にすでに同システムを搭載したと明らかにした。同社は27年末までに全機へのスターリンク導入を計画しており、9月29日にはデルタの「スカイマイル」とアメリカン航空の「AAdvantage」会員を対象とするキャンペーンを開始した際、スターリンクによる接続サービスを「画期的」とアピールした。
アメリカン航空も27年初頭から500機以上のナローボディー機にスターリンクを順次搭載する計画。
アマゾンのLeo衛星が最後に打ち上げられたのは7月。アマゾンは、ボーイングとロッキード・マーチンの合弁会社ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)と多数の打ち上げ契約を結んでいるが、ULAの主要ロケットの1つはブースターの問題により、数カ月にわたり運用を停止している。
アマゾンLeoの打ち上げを担うもう1社、ジェフ・ベゾス氏の宇宙企業ブルー・オリジンは、5月に「ニュー・グレン(New Glenn)」ロケットの発射台が爆発で破壊された後の復旧を進めている。ブルー・オリジンのデーブ・リンプCEOは9月29日にワシントンで開かれたイベントで、年末までに打ち上げを再開する方針を改めて示した。
一方、スペースXは主力ロケット「ファルコン9」によって安定的な宇宙へのアクセスを維持しており、週に複数回に及ぶこともある頻度でスターリンク衛星をネットワークに追加している。同社は今後、巨大ロケット「スターシップ」を使って、より大規模な宇宙機の打ち上げも可能になる。スターシップは28日、初めて地球周回軌道に到達し、実際に機能するスターリンク衛星の展開に成功した。
原題:Elon Musk Warns Delta CEO ‘Will Lose His Job’ Over Starlink Snub(抜粋)
--取材協力:Sana Pashankar.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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