(ブルームバーグ):米アルファベット傘下のグーグルは、待望の旗艦AIモデル「Gemini(ジェミニ)4 Argon」の提供を開始した。ただ、コーディングなどの主要分野での性能を巡り、社内では懐疑的な見方も出ている。
グーグルは9月30日、信頼する少数のサイバーセキュリティー分野のパートナー向けに同モデルを公開。追加のテストを経て、有料会員を皮切りに利用対象を拡大すると明らかにした。同社はGemini 4について、幾つかのベンチマークテストで最高水準のスコアを記録し、セキュリティー能力を測るテストの一つではOpenAIのAstraモデルを上回ったとしている。
ただ、こうした指標だけでは全体像を捉えられないと社内関係者の一部は指摘する。取り組みに直接関わる複数の関係者によると、Gemini 4はモデルの性能評価に広く使われるベンチマークでは好成績を収めているものの、従業員が実際の業務で使用すると性能が落ちるという。同モデルは一部のコーディング作業への対応に苦戦していると関係者は述べた。社内事項であることを理由に匿名で語った。
アルファベット株は同社の発表後、時間外取引で約1.7%上昇した。30日の通常取引では、同モデルに対する従業員の懐疑的な見方をブルームバーグが報じた後、それまでの上げ幅を縮小した。
グーグルは最近、OpenAIやアンソロピックに対抗できるモデルの開発に力を注いできた。グーグルは「Gemini 3.5 Pro」と呼ぶ別バージョンを6月に公開する計画だったが、開発を断念したと関係者は話した。
グーグルは、Gemini 4がコーディングなどの分野で期待を下回る性能だとするのは正確ではないと説明した。同社はブルームバーグに対し、グーグル・ディープマインド責任者のコライ・カブクチュオール氏が先週、同モデルの性能に手応えを感じていると述べた発言を改めて示した。
カブクチュオール氏はテクノロジーニュースサイトのジ・インフォメーションが主催した会議で、「チームを最大限信頼している。私の中では、われわれが常に最先端にいることは確実だ」と語っていた。
グーグル社内では見方が分かれている。一部の従業員は、アンソロピックの「Fable(フェイブル)」とOpenAIのAstraの改善ペースがGeminiを上回っているとみている。これらの従業員は、Gemini 4が最高の性能を発揮したとしても、一部分野ではアンソロピックとOpenAIのモデルに後れを取ると考えている。一方で、リリースされる新バージョンによって、先行する競合AIラボと同等の水準に追い付いたとみる従業員もいる。
モデル開発に詳しいグーグルの従業員は、Gemini 4が最先端の水準にあるとの「幅広いコンセンサス」が社内にあるとコメント。この従業員によると、同社はモデルについて厳格なテストを実施しており、整理されていない現実のコーディング作業への対応に苦戦しているとの見方を否定した。
グーグルにとって、Gemini 4の成功は極めて重要だ。同モデルの各バージョンは、同社の主要な収益源である検索サービスの上部に表示されるAI回答から、マップ、Gmail、Chromeに至るまで、同社が提供するほぼ全ての製品の基盤となっている。これらの製品はいずれも利用者が10億人を超えており、一部の競合企業にはない流通面での強みとなっている。
ただ、OpenAIとアンソロピックはモデルの販売にとどまらず、コーディングエージェントを含む独自製品の開発を強化している。最先端モデルの提供に失敗すれば、グーグルの競合他社に対し、検索やソフトウエアの未来は自社のプラットフォーム上で動かすべきだと消費者や開発者、企業に確信させるための猶予を与えてしまう恐れがある。
ブルームバーグの質問に対しグーグルは、直近のProモデルを公開したのは2月だったものの、その後もAI製品の利用が拡大していると説明。法人向けGeminiに加え、消費者向けチャットボットアプリとグーグル検索のAI Modeも成長しており、後者二つは利用者が10億人を突破したという。
原題:Google Grapples With Employee Skepticism About New Gemini 4 (1)(抜粋)
--取材協力:Edward Ludlow.
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