米フォード・モーター株の急騰が帳消しとなった。米自動車メーカーへの経済的な逆風が強まる中、AIブームの恩恵で同社が大きな利益を得るとの期待もしぼんでいる。

フォードの株価は9月30日、一時2.8%下落した。その後は下げ幅を縮小し、2%安で取引を終えた。一時は5月以来初めて11.99ドルを割り込み、今年前半の45%上昇分を全て失った。当時は、同社の蓄電事業がAI企業と収益性の高い契約を結ぶとの期待から買いが膨らんでいた。

インテグリティー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジョー・ギルバート氏は「蓄電部門が実際に利益を生み始めるまでは、AIによる追い風は戻らないと思う。2027年か28年になるだろう」と指摘した。5月の上昇局面でフォード株を購入しなかった同氏は、上昇分が帳消しになったことで、自身の慎重な見方に一段と自信を深めたと述べた。

今年は、燃料価格の高止まりや米消費者の不安定な動向、金利急上昇、海外メーカーとの競争激化が自動車業界の重しとなっている。フォードと同業ゼネラル・モーターズ(GM)の株価はともに市場全体を下回り、30日終値までの年初来でそれぞれ8.1%、5.3%下落。一方、S&P500種株価指数は12%上昇している。

フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は9月30日、サプライヤーの問題で7-9月(第3四半期)にピックアップトラック「F-150」の生産が一時的に影響を受けたことも明らかにした。同社は今週後半に四半期販売台数を発表する見通し。

フォード株は、AIブームで買われた従来型製造業銘柄の一つだ。モルガン・スタンレーのアナリスト、アンドリュー・パーココ氏が、同社の蓄電事業はハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)と契約を獲得する可能性があると指摘したのをきっかけに買いが殺到。5月には月間ベースで17年ぶりの大幅上昇となった。

テクノロジー大手や半導体メーカーのバリュエーションが高水準に上昇する中、投資家はAI革命の恩恵を受ける別の企業にも投資先を広げており、工業株や自動車株にも資金が流入してきた。同様の流れから、建設機械大手キャタピラー株は発電設備事業が追い風となり、過去1年で70%上昇している。

ただ、フォードが自動運転関連銘柄としての魅力を維持するには、蓄電事業で受注残を積み上げている実績が必要で、黒字化は数年先になると投資家やアナリストは指摘する。

フォードは直近の決算で、4-6月(第2四半期)の業績が市場予想を上回り、通期見通しも引き上げた。ただ、経営陣は蓄電事業や顧客について具体的な最新情報を示さなかった。決算発表当日は株価が上昇したものの、その後6営業日で売られ、10%下落した。

原題:Ford’s 45% Rally Wiped Out as Hopes for AI Windfall Fizzle (1)(抜粋)

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