フランスが政治・経済の難局を何とか乗り越え、比較的安全な投資先であり続ける。ユーロ誕生以降、投資家が抱いてきたこうした見方が揺らいでいる。

世界的な債券売りの中、フランス国債の下落は想定を大きく超える規模と速さで進む。財政赤字の削減目標未達や政策の行き詰まりに加え、来年の大統領選で国の針路が大きく変わる可能性に警戒感が強まっている。今年の財政赤字は国内総生産(GDP)比5%に縮小するはずだったが、むしろ拡大に向かっている。

フランスの10年債利回りは6月以降に1ポイント余り上昇し、四半期ベースのパフォーマンスはユーロ導入以降で最悪となった。現在は4.9%と、2002年以来の高水準付近にある。同年限のドイツ国債に対する上乗せ利回りは、5月以降に2倍余りの141ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に拡大した。

フランス株も低迷している。バンク・オブ・アメリカの欧州ファンドマネジャー調査では、今後12カ月の投資先としてフランスが最も敬遠されている。

政府は1日発表した予算案に、今年達成できなかった赤字削減目標を実現するため、異例の大幅歳出削減を盛り込んだ。ただ、分断された議会はこれまで幾度も首相を退陣に追い込んできた。予算協議は再び内閣の崩壊につながりかねない。

レスキュール経済・財務相は同日、他の欧州主要国との利回り格差を縮めるには、信頼を回復する必要があると指摘。「われわれにはできる。実現は可能だ」と述べた。

だが、政府債務はGDP比120%に迫り、ドイツのほぼ2倍に上る。一部の投資家は、2010年代前半にユーロ圏を分裂寸前に追い込んだギリシャ危機との類似点を指摘する。ブルームバーグが取材した数十人の投資家や市場ストラテジストの間でも、容易な解決策はないとの見方が強まっている。

エネルギー価格の上昇や追加利上げ観測も重なり、国民の不安も高まる。債券市場の動向が新聞の1面を飾り、政府当局者は利払い費が国防費や教育費を上回ったと警告。ここ数日には、校舎の老朽化や教室の過密状態に抗議する学生が警察と衝突した。

政治の先行きも見通せない。マクロン大統領の下で10年続いた中道政治に失望した有権者は、来年5月に新大統領を選ぶ。最近の世論調査では、最有力候補の極右マリーヌ・ルペン氏と、急進左派のジャンリュック・メランション氏が決選投票に進む可能性が示されている。

中道候補が勝利しても、債務問題に本格的に取り組むための議会の過半数確保は難しいとみられる。野村インターナショナルの欧州担当シニアエコノミスト、アンジェイ・シュチェパニアク氏は、対ドイツの上乗せ利回りが2027年末までに最大200bpに達すると予想。「フランスでは政治リスクが財政リスクそのものだ」と述べ、政治の分裂がさらに進む可能性を投資家は十分に織り込んでいないと指摘した。

一方、過去2年間に見られた予算を巡る最悪の対立は回避される可能性もある。ルペン氏は危機の深刻さを認め、内閣打倒の動きを控える可能性を示唆した。予算が成立すれば、大統領選で勝利した際に緊急対応に追われず、法改正を進めやすくなる。

ルペン氏は当選すれば、財政赤字を制限する基本ルールの導入を問う国民投票を提案する方針だ。ただ、1250億ユーロの歳出削減目標の詳細はほとんど明らかにせず、燃料税の大幅引き下げなど財政負担の大きい公約も維持している。

フランスが財政問題を制御できなければ、影響は国境を越える。債券市場を通じた混乱の波及や財政ルールの形骸化、欧州の指導力低下につながりかねない。ユーロは対ドルで16カ月ぶりの安値にあり、ヘッジファンドはユーロ安を見込む取引を増やしている。

ソシエテ・ジェネラルのチーフエコノミスト、ミカラ・マーカッセン氏は「欧州の政策課題を前に進める政治的な余地が狭まるリスクがある。その点でフランスは極めて重要だ」と述べた。

原題:France’s Crisis Is Deepening as Investors Head for the Exit(抜粋)

--取材協力:Georgia Hall、Farah Elbahrawy.

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