上場ヘッジファンドとして世界最大級の英マン・グループは28日、長めの米国債で利回りが急上昇しており、米国の経済成長を支える2本柱であるAI関連の設備投資と個人消費を揺るがす恐れがあると警告した。

同社のチーフマーケットストラテジスト、クリスティナ・フーパー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、米国債売りによりイールドカーブ(利回り曲線)全般で利回りが上昇し、「何かが持ちこたえられなくなる」と述べた。

米国債利回りは数年ぶりの高水準にあり、30年債利回りは5.6%に迫っている。10年債利回りは今年に入って100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り急上昇し、28日には5.25%を突破した。フーパー氏は「年内に5.5%に達しても全くおかしくない」との認識を示した。

マン・グループのフーパー氏は、米国債の売りが米経済全般に潜在的なリスクをもたらしていると指摘する

フーパー氏によると、こうした高い借り入れコストは、AI投資ブームと消費者の家計にとって潜在的な問題となる。債務調達コストの上昇はAI投資でリターンを生み出すためのハードルを引き上げるが、そのハードルはすでに「かなり高い」という。10年債利回りは住宅ローン金利や消費者クレジットと「極めて密接に連動している」とも説明した。

フーパー氏は、利回り上昇は単に堅調な経済指標を反映しているとの見方を退け、米国債売りの真の要因はインフレや財政の持続可能性、米財政赤字の対GDP(国内総生産)比に対する懸念だと語った。また、利回り上昇に合理的な理由があるとしても、トレーダーは今のような一連の難題に直面したことはないと指摘した。

「異常なのは、長期ゾーンの利回りがこれほど劇的な速さで上昇していることだ」と警戒感をあらわにし、「政府債務の規模がこれほど大きいことも、歴史的に見て異例だ」と話した。

同氏は、所得層の上位と下位で状況が二極化していることからそう呼ばれる「K字型」経済を巡る議論に、新たな比喩を加えた。上位層に資産が集中していることを踏まえた「P字型」経済だ。

米株式相場が今年、過去最高値を更新したことで資産効果が生まれ、個人消費を下支えしているとフーパー氏は分析。このため、株価が下落した場合のリスクも高まっているという。同氏は「個人消費の多くがPの上部に当たる層から生じているため、これは個人消費にとってかなり大きな問題になり得る」と述べた。

原題:Man Group Says 5.5% Yields Risk Cracking AI Capex, US Consumer(抜粋)

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