(ブルームバーグ):国連のグテレス事務総長は22日、歯止めなく強まる企業の力や「キラーロボット」が横行するディストピア的な未来を回避すべく、AIへの規制を強化するよう訴えた。その一方で、トランプ米大統領は、AIがもたらすリスクには米国の既存の制度で対応できるとの考えを示した。
グテレス氏は、国連総会での任期最後となる演説を行い、最先端AIモデルの急速な進歩が国家の力を弱める恐れがあると警告した。グテレス氏だけでなく、英国やフランス、カナダの首脳や主要AI研究機関からもAIを巡って警戒感が示されている。
グテレス氏はAIの新たな安全対策を巡る国際的な合意を呼びかけ、「われわれは、権力が政府から一握りの民間企業や個人へと大きく移りつつあるのを目の当たりにしている」と指摘。「AIは驚異的なスピードで進歩しており、その影響の全容を理解するわれわれの能力を上回る勢いで突き進んでいる」と述べた。
これに対しトランプ氏は、国連総会での演説で「米国は、AIを管理するためのグローバリスト的な枠組みを構築しようとするいかなる試みも全面的に拒否する」と表明。「産業革命を上回る規模になるAIの発展を、私は抑え込むつもりはない」と述べた。
国連トップを10年にわたり務めてきたグテレス氏は、戦争や「武器として利用される」飢餓、加速する気候変動、人権や法の支配への尊重の後退に揺れる世界の厳しい将来像を描いた。特にAIとデータセンターを巡る開発競争が、劇的な変化の時代を左右する大きな力になっていると指摘した。米国と中国を念頭に、AIを安全に開発するためのガードレール(安全策)が必要だと訴えた。
グテレス氏は「最も高度なAI能力を持つ国の政府は、対話を促し、透明性や信頼、協力を確保する枠組みを構築するうえで、人類に対して最も大きな責任を負っている」と語った。
抑え込まず推進を
トランプ氏はAIを巡る議論で主要国首脳とは一線を画している。同氏は「慎重でなければならない」とした上で、「必要ならば法執行機関が抑制に動くだろう。だが、われわれは超知能の発展をあくまで後押ししていく。抑え込むのではなく、推進していく」と述べた。
グテレス氏は事務総長在任期間のほぼ全体を通じてAIのリスクを警告してきた。就任後初めて国連総会の演説に臨んだ2017年には、AIについて開発を促進し、人々の生活を劇的に変える可能性がある一方、労働市場や世界の安全保障、社会の構造そのものに大きな影響を及ぼしかねないと指摘していた。
それから9年が経過し、警告は一段と切迫している。リスクは雇用や格差にとどまらず、自律性を高めたAIモデルが意図しない行動を取ることや、AIがサイバー攻撃や生物兵器の開発に利用される危険性にまで広がっている。
グテレス氏は「危険なのはテクノロジーではない。説明責任を欠いたテクノロジーだ」と指摘。「人間はますます機械に権力を委ねている。AIエージェントが暴走し、自律型致死兵器はSFの世界から軍事上の現実になりつつある」と語った。
同氏は「われわれの未来にキラーロボットが入り込む余地を与えてはならない」と訴えた。
原題:UN Chief Calls for AI Pact to Prevent the Rise of Killer Robots
Trump Rejects Push for International Pact to Manage Risks of AI
(抜粋)
(トランプ氏の発言を加えます)
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