中東情勢の緩和が見通せないなかで、エネルギー価格が高止まりしている。原油価格のほか一部の石油製品価格や天然ガス価格の上昇もインフレ圧力に大きく寄与している。

4-6月期のユーロ圏の実質成長率は前期比0.6%(年率2.6%、前期▲0.0%)となった。足もとアイルランドの多国籍企業活動の寄与で成長率が大きく振れているが、アイルランドを除く成長率は前期比0.3%(年率1.2%、前期0.3%)となり緩やかな成長基調が維持された。中東情勢緊迫化の悪影響は1-3月期に続き4-6月期でも限定的だった。

HICP(速報値)は、8月の前年比伸び率は、総合指数で3.3%、エネルギー・飲食料を除くコア指数で同2.4%となった。エネルギーインフレは前年比14.3%まで上昇しており、総合指数を大幅に押し上げている。一方で、コア指数は財インフレが上昇しているものの、サービスインフレが低下しており横ばい圏で推移している。

ECBはエネルギー価格の上昇を受けて6月会合に続き9月会合でも利上げを実施した。一方で、先行きについては不確実性が高い状況下で政策金利経路は予測できないとして、引き続き会合毎にデータ次第で金融政策決定を行う姿勢を強調した。

今後の見通しは、中東情勢が徐々に改善に向かいエネルギー価格も緩やかに下落するとの前提のもと、成長率は緩やかな成長基調を維持すると予想する(成長率:26年1.0%、27年1.2%)。インフレ率は当面は目標を上回るものの、先行きはエネルギー価格の下落に合わせて再び目標に向けて緩やかに低下すると予想する(26年3.0%、27年2.5%)。ECBはインフレ圧力が継続することを受け年内に追加利上げを実施すると予想する。

成長率のリスクは下振れ、インフレ率のリスクは上振れに傾いている。エネルギー価格の高止まりは2次的効果によって高インフレが定着し、ECBに積極的な利上げを促す可能性がある。また、交易条件の悪化で所得流出を通じた成長率の下振れ要因となる。