オーストラリアの銀行持ち株会社ANZグループ・ホールディングスの ヌノ・マトス最高経営責任者(CEO)は15日、AIがもたらす予測困難なリスクに警鐘を鳴らす一方で、急速に進化するAIを導入する過程で同行が大規模な人員削減に踏み切る可能性を否定しなかった。

マトス氏は「現時点では、AIは開発者自身が考えていたよりもはるかに速いペースでリスクを生み出している」とシドニーで開かれた「オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(AFR)アジア・サミット」で語った。

同氏はスペースXのイーロン・マスクCEOとアンソロピックのCEOダリオ・アモデイCEO、OpenAIのサム・アルトマンCEOに言及し、3氏が「開発ペースを落とす必要があると考えていると発言していること自体、われわれに極めて明確な何かを示しているはずだ」と指摘し、「彼らは、このテクノロジーのリスクが予想をはるかに上回っていると言っている」と強調した。

マトス氏は「AIが生活を向上させ、能力を高め、多くの病気の治療法を見つけてくれるという夢をわれわれ皆が抱いていた。それは事実だ」と述べる一方、「十分なガードレールや制限」がなければ、危険な結果を招き、「インフラを攻撃することになる」と警戒感を示した。

マトス氏は、AI導入によって大量の雇用が失われれば、社会を不安定化させ得るとも説明。AIを理由にANZが大規模な人員削減を実施する可能性を否定しなかった。メルボルンを本拠とするANZの従業員数は約4万人。「私には分からない。確実なことを言う人がいれば、それはうそをついていると思う。誰にも分からない」と同氏は話した。

豪州の競合行ウエストパック銀行は15日、AI活用によって従業員の作業時間を削減できるとして、投資家にその利点を説明した。ウエストパックの最高データ・デジタル・AI責任者、アンドリュー・マクマラン氏のプレゼンテーションによると、住宅ローンと消費者金融の分野で稼働する5つのAIエージェントにより、手作業約25万件を削減し、銀行員の業務時間を年間約15万時間創出できると試算している。

ウエストパックは、住宅ローンでの給与明細や銀行取引明細の確認を自動化することで年間約10万時間、消費者金融では約5万時間の効果が得られると分析。同行はこれらについて年間効果の推計値だとしている。

原題:ANZ CEO Warns of AI Risks, Job Cuts After Musk, Altman Alert (1)(抜粋)

--取材協力:Rthvika Suvarna.

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