(ブルームバーグ):AI大手が技術開発のペースを落とすよう呼びかけたことを受け、今年の株高をけん引してきたAI分野への懸念が強まった。アジア株式と米株価指数先物は下落し、原油は上昇している。
MSCIアジア太平洋株指数は0.8%安。AI投資の動向を映す指標とされる韓国総合株価指数(KOSPI)は3.4%下落した。ソウル市場では半導体メーカーのSKハイニックスとサムスン電子がともに4%超下落。東京市場ではソフトバンクグループが一時13%安となった。OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が、今年中には上場しないと述べたことが響いた。
ハイテク株の比率が高いナスダック100指数先物は1.3%下落し、S&P500種株価指数先物も0.6%安。欧州株も安く始まる見通しだ。
一方、北海ブレント原油は2.2%高の1バレル=106.95ドル。サウジアラビアがドローン攻撃を受け、主要な石油パイプラインの稼働を停止したほか、イランと湾岸諸国による予定されていた会合が延期された。米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は2.2%高の102.25ドル。
ドルは上昇。米国債は先週の売りで下落した水準で推移し、指標となる10年債利回りは5%に接近した。予想を上回った8月の米コアCPIを受け、利上げ観測が強まった。スワップ市場では、米連邦準備制度が16日に政策金利を引き上げる確率を約90%織り込んでいる。

投資家はAI関連投資を見直し、週末に相次いだ警告が企業の支出を抑え、サプライチェーン全体の利益見通しを圧迫する可能性があるかを見極めている。市場にとって重要な一週間の始まりと言える。米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、原油高がインフレ懸念を強め、借り入れコストを高止まりさせている。
KCMトレードのチーフマーケットアナリスト、ティム・ウォーターラー氏は「二つの望ましくない逆風が重なっている」と指摘。「AI開発のペースを落とす必要があるとの警告に加え、サウジアラビアの東西パイプライン稼働停止を受けて原油がさらに上昇している。リスク資産にとってこの組み合わせは厳しい。米10年債利回りが5%目前にあるのも、株式には不安材料だ」と述べた。
ブルームバーグのマーケッツ・ライブのストラテジスト、マーク・クランフィールド氏は、「KOSPIと米国株の方向性の相関は、韓国株が7月に急落して以来低下している。ただ、新たな下落局面に入れば、ナスダック企業も無視できない。AI開発を減速すべきだと訴えている経営者は米国側だからだ」と分析する。
アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは12日、独立した第三者機関による評価を含む追加の安全対策を導入すると表明し、業界全体に最先端モデルの開発ペースを落とすよう呼びかけた。OpenAIのアルトマンCEOはこの提案を支持。xAIのイーロン・マスク氏も「ダリオは正しい」と述べた。
トランプ米大統領は、AIのリスクを巡る警戒感の高まりを重大視しない考えを示した。中国勢との激しい競争が続く中、業界首脳が最先端で収益性の高いモデルの開発をどこまで実際に減速させるのかについても疑問が浮上している。
AIに投じられる数十億ドル規模の資金や、巨額のインフラ投資に見合う利益を確保できるのかを巡る議論も一段と注目されている。高バリュエーション銘柄は、リターンの低下や支出減速を示す兆候に依然として弱い。一方、コンピューティングインフラへの旺盛な需要を背景に、調整は短期にとどまるとみる投資家もいる。

大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、AI開発がどこまで減速するのか不透明で、投資家は今のところ慎重だと指摘。AI開発そのものへの投資が減るとは考えにくいが、業界首脳が示唆しているように、開発ペースを落とすという話だろうと述べた。
金は0.4%安の1オンス=約4330ドル。米利上げ観測の高まりを受け、利息を生まない金の投資妙味が低下した。ブルームバーグのドル指数は0.2%上昇した。
米10年債利回りは4.96%で推移。市場の関心は16日のFOMCの政策決定に移っている。
米連邦準備制度を皮切りに、英国、日本と3日連続で中央銀行の政策決定が予定されており、2026年後半以降の世界的な金融政策見通しを大きく変える可能性がある。
原油が再び明確に1バレル=100ドルを上回り、中東で戦闘が再燃しているとみられる中、世界的な物価上昇圧力の緩和を期待するのは当面難しそうだ。
HSBCのアジア担当チーフエコノミスト、フレデリック・ニューマン氏は「原油価格、特にディーゼルなど石油製品の急騰がインフレと成長への懸念を強めている」と指摘。「今週は中央銀行にも注目が集まる。米連邦準備制度と日本銀行はいずれも金融引き締めに動く可能性が高く、世界的なリスク資産の上昇にはさらなる逆風となる。いずれも市場の流れを決定的に変えるほどではないが、投資家が一服するには十分な懸念材料だ」と述べた。
原題:Stocks Drop on AI Slowdown Concerns, Oil Advances: Markets Wrap(抜粋)
(原油価格や株価を追加して更新します)
--取材協力:Winnie Hsu、横山桃花、我妻綾.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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