本稿では、LGBTQをめぐる基本的な概念を整理したうえで、性的マイノリティにおけるプレコンセプションケアの必要性について、妊孕性やメンタルヘルス、医療アクセスなどの観点から紹介した。
近年、プレコンセプションケア(プレコン)への関心が高まる一方、妊娠・出産を希望する男女のための健康管理というイメージも根強い。しかし、性のあり方や家族形成が多様化する現代において、プレコンはLGBTQを含むすべての人が、自らの身体や性、生殖に関する知識を持ち、将来について考える機会として捉える必要がある。特にトランスジェンダーでは、ジェンダー・アファーミング・ホルモン療法(GAHT)が生殖機能に影響を及ぼす可能性があり、治療開始前から妊孕性への影響や妊孕性温存について情報提供することが重要となる。
また、差別や偏見、孤立、医療アクセスの困難などの社会的ストレスにも目を向ける必要がある。 性自認や性的指向によって将来の生き方を決めつけず、一人ひとりが必要な情報を得て、自らのタイミングで未来を選択できる環境を整えることが、多様な性の時代に求められるプレコンの役割である。
近年、プレコンセプションケア(以下、プレコン)への関心が高まり、国や自治体においても若い世代への普及啓発や相談支援など、さまざまな取り組みが進められている。一方で、「プレコン」と聞くと、将来、結婚して子どもを持つことを希望する男女が、妊娠・出産に向けて健康管理を行うものというイメージを抱く人も少なくないのではないだろうか。
しかし、私たちの性のあり方や家族のかたちは多様化している。性的指向や性自認が多様であることはもちろん、結婚するか、子どもを持つか、誰とどのような家族を形成するかについても、その選択は一様ではない。LGBTQなど性的マイノリティの中にも、将来的に子どもを持つことを希望する人もいれば、希望しない人もいる。また、トランスジェンダーの人では、ホルモン療法などを開始する過程で、将来の妊孕性をどのように考えるかという選択に直面する場合もある。
そもそもプレコンは、単に「健康な子どもを産むため」の取り組みではない。自らの身体や性、生殖に関する知識を持ち、将来のライフプランを踏まえながら、自分自身の健康と選択肢について考える機会でもある。そう考えると、プレコンは異性愛者や妊娠を希望する人だけを対象とするものではないはずである。
本稿では、これまでプレコンの議論では十分に焦点が当てられてこなかったLGBTQの視点から、プレコンセプションケアのあり方について考えてみたい。